大場理史-satoshi ohba- PV2.mpg
F・ヘルス嬢日記 [VHS] |
佐伯一麦「一輪」を原作とするものだが、実に切ない「パリ、テキサス」みたいな味わいの名画である。荒井晴彦脚本がいいのか、真弓倫子がいいのか金山一彦がいいのか、みんないいのである。 |
狂人日記 (講談社文芸文庫) |
佳人薄命、とはまことによく言ったもの。
このことば、容姿の美しさに限らず、魂の美しさについてもまた然り。 eureka! ある種の向こう側を知ってしまった者は、その知の代償として自らの命を差し出さねば ならない。神を相手に己を賭した、あまりに過酷な取り引き。それでもなお、その知の憧憬に 憑かれた者は嬉々として命を差し出す。 燃え尽きることを希う、あまりに儚い自殺志願者、それこそが芸術家の芸術家たる所以、 狂人の狂人たる所以。 享年61、薄命と呼ぶにはあまりに長い生涯だ。 とはいえ、色川がこの小説と命を引き換えにした、と語ったとして、誰がその説得力を疑う ことがあろうか。 『狂人日記』といえばまずはゴーゴリ、しかし、色川のそれは完成度、深みにおいてかの ウクライナの巨星すら凌駕する。 とある飾職人の、内攻をめぐる壮絶な記録。寄り添う女がいる。拭えぬ過去の記憶がある。 すべてが辛い。どこか硬質な文体、突き破れぬ薄皮一枚が孤独また孤独の反復を招き、狂気に 至り、最後は死へと向かう。 ラストシーン、幻視の中、幻聴の中、世界を遠のく姿、己を遠のく姿は迫真。 日本文学、否、世界文学の金字塔。 |
芥川賞を取らなかった名作たち (朝日新書) |
1.内容
芥川賞にならなかった作品にもいい作品がある(芥川賞は不公平だ、などといったけなす趣旨ではない)という意識の下に、著者が作家デビューする前に読んだ芥川賞にならなかった作品のうち、入手しやすさ、発表時期などを考慮して選んだ計12作(章は11)を題材に、作品の素晴らしさ、芥川賞の裏事情、ならびに、著者の文学観を記したものである。なお、ベースは、仙台文学館で行われた講座。 2.評価 (1)芥川賞を取らなかった作品に対する好意的評価、(2)講座受講者などとの対話の内容の鋭さ(受講者もよく読んでいると感じさせる内容)、(3)芥川賞の裏事情(たとえば、3作が同じくらいの内容だと、該当者なしになる可能性が高いが、2作が同じくらいならば同時受賞になる、など)、(4)話の節々に出てくる著者の文学観と、興味深い内容なので、星5つ。これをきっかけに、文芸誌を読んだり、候補作を検討するのも悪くない。なお、あえて短所を挙げると(星には影響しない)以上2点。すなわち、(1)デビュー後の作品も評価していればなお良い、(2)作品の中には入手可能で、たとえば講談社文芸文庫にあるなどということが個別に書かれているが、リストになっていればもっと便利だと思う。 |
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