笑いあり、サスペンス有り、エログロ有りの娯楽小説の見本とも言うべき物語だ。
藤堂藩の若き跡取りが、奇妙な死に方を上様の前でしてしまい、ここから話が始まり、藤堂藩を守る為に、鞠姫は、上様の33番目の息子、石五郎との婚約で逃れようとするわけだが、この石五郎が、白痴症で失語症。そのくせスケベ心だけは凄まじい男。
対する鞠姫は、美人だが言いたい事ははっきり言う行動派の姫様。
その二人に襲い掛かる伊賀忍者達。
何故伊賀忍者は彼ら二人に襲い掛かるのか?
そして彼らを助ける謎の白頭巾、白羽二重、隈取をした謎の忍者、自来也!
自来也は、何故二人を助けるのか?伊賀忍者は何故彼らを狙うのか?
そして自来也の正体は?
全編通して、話はテンポ良く進み、全く退屈しません。
また、石五郎と鞠姫の新婚初夜。石五郎と藤堂采女とのやり取りなど、笑わせるシーンも多く、そして山田風太郎作品にしては珍しく、勧善懲悪ものの、安心して読め、芝居がかった展開やキャラも楽しめる、これぞ歌舞伎級の娯楽小説です。
(たしか)福岡のAutomatic Kissというレーベルから発売されたインディー盤。
ルーツロックをお手本に徹底的な洋楽嗜好である為、音楽的に耳の肥えた玄人向けといった印象。 素人お断り!の匂いがぷんぷんするところが潔い。
どのパートのアレンジもセンスがよく練られており、特にドラムのプレイが冴えている。
リリースから10年以上経っているけど、今聴いても普通に良い。是非。
「くノ一忍法帖シリーズ」の劇場公開版であるため、エキストラを含め出演者が多く、セットは凝っているし、特撮やアクションシーンも良く出来ている。しかし、男の忍者が活躍する場面が多く、肝心のくノ一が脇役に追いやられている。くノ一役の伊吹今日子、鈴木美穂、成瀬千里、加藤陵子、市川文子は裸の出し惜しみをしていないが、アクションシーンでの見せ場が無くなってしまったのが残念である。坂井香月と坂井江奈美の双子のくノ一も、全裸の上に直接鎖帷子と言う場面があるが、双子で裸も厭わない女優など珍しいと思うので、出演時間を増やしても良かったのでないかと思う。くノ一をもっと全面に出してこそ、このシリーズの存在価値が増すと言うものである。
「剣客商売」…このタイトルを知らない時代劇ファンはいないだろう。言うまでも無く今や時代劇界にその名をとどろかす名作の1本である。その剣客商売のスペシャル版の第1作であるこの〜助太刀〜は、レギュラー陣の重厚で確かな演技は勿論の事、ゲスト陣の演技も目をひく。特に物語のキーマンとなる、酒井道場の入婿、酒井忠兵衛役の山田純大の悪役ぶりは圧巻。その前年まで演じていた人情家の格さんが記憶に鮮明なだけにことさら印象深い。…人々を欺きながら、栄達しようとした酒井忠兵衛…危険で、だが哀しい男の色香を感じさせる彼に虜になる女性も多いかも知れない。
勿論、時代劇ならでは殺陣のシーンも見応え充分。時代劇ファンならずとも見て決して損のない一品である。
主人公は自分の意思をきちんと持っていて、それを親に反対されながらも「愛の為」に貫いていく、しかも主人公が好きになった子もそれをちゃんと受け止め、戸惑いながらもそれを受け入れているところがよかったです。性別なんか関係ない!好きになっちゃったなら男だろうが女だろうがいいと思う。頑張れ!と応援したくなっちゃうような作品です。
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