近くのお店で購入できてしまう合法ドラッグ。
しかし2000円以下でこんな上物ドラッグはないでしょう(違法ドラッグしたことありませんが。)
タイトル通り、完璧なドラッグです。
これを聴かずして一生を終えることなかれ。
複雑なビートと荒れ狂うディストーションギターがノイズの塊を吐き出し、混沌とした音世界を形成する。
その一方で、弱音・無音を効果的に使い、うまくメリハリをつけることで、無限の奥行きを感じさせるサウンドになっている。
このように、動と静を最大限の振幅で行き来する手法は、ある意味、クラシックの方法論に近いものがある。
また、各曲の構成は「ヴァース・コーラス」という、古典的形式を大きく逸脱した複雑なもので、
トレント・レズナーの独創性が遺憾なく発揮されている。
正直言って、あまり聴きやすい音楽ではないし、個人的にはそれほど好きなわけでもない。
しかし、この作品が持つ芸術性は、好き嫌いなどという次元を超えて、聞き手を圧倒する。
"The Fragile"にて実験的かつアブストラクトな音を追求してきたトレントは、 今作で再びリズムを主体とした歌ものというスタイルに立ち返った。 サウンド的には当時トレントがよく聞いていたというPublic Image Ltdや、 後にプロデュースすることになるSaul Williamsなどの影響が感じられる。
このアルバムが他のアルバムと比べて異色なのは、主体となっているリズムの殆どが生ドラムという点。 トレントと言えばドラムマシーンによる独特のループが特徴となっている曲が多いが、 ここではあえて生ドラムを採用し、ドラマーとしてデイヴ・グロールを招いている。 さらにNINサウンドのもう1つの要であるシンセサイザーも、 PC上のヴァーチャルシンセから古典的なアナログモデルのシンセサイザーへ。 演奏もループなどを極力用いず、手弾きによる演奏にこだわったそうだ。
そうしてできあがったアルバムはとてもバンド的で、且つ歌そのものを全面に押し出した形となっている。
聞いてて思うのは、多分トレントはライブで演奏することを想定して曲を書いてたんじゃないか、ということ。 「ライブで思いっきり歌いたい、やっぱり自分には音楽しか無い」と制作時に感じていたのではないのだろうか。 実際その後のツアーでも、以前はシーケンサーに任せていたパートも手弾きによるアレンジに変更していたり、 バンドのダイナミズムにより重きを置いたものへと変化していっている。
曲調が以前に比べてポップなのもできるだけ多くの人に自分の曲を聞いてもらいたかったからではないだろうか。 ポップになったといっても聞き手に媚びているような安直なものではない。 そのポップさは本来NINが兼ね備えている独特のセンスによるものであり、 スピリット的な面でデビューアルバムのPretty Hate Machineに通ずるものを感じる。
「アルコールや現実逃避に費やした7年間を取り戻す為に、俺は何でもやる気になっていた」と、後のインタビューでトレントは語っている。 デビュー当時のトレントも、そんな風に必死になっていたはずだ。
このアルバムを作った時点でトレントが完全に立ち直っていたのかどうかはわからない。 だがスタート地点に戻るという意味で、このアルバムはトレントにとってやはり必要なものだったのだろう。
再び歩き出す為に初心に戻った。そんな意味合いを持つアルバムだと思う。
この作品はDVDでも持っていたのだが、歌詞字幕,DTS,高画質などDVDのポテンシャルを最大限に生かされていたので
もう改善の余地はないのだろう。と思っていたがブルーレイを再生して驚かされた。
なぜなら画質がいいからだ。
映画を見た人なら(映画を見た人以外は買わないと思いますがw)かなりあがる音楽集ではないでしょうか?
クラブのシーンや冒頭のgoodミュージックを自分のものにできる。
ただ、著作権上かもしれないけど聖歌隊バージョンのレディオヘッドやビートルズが含まれていなかったのが残念ではあります…。
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