ウォルト・ディズニーの「ファンタジア」、日本映画界の巨匠・黒澤明の「夢」といったオムニバス作品に夢中になった僕にとって、この荒川静香さん推薦の「フィギュアスケート・アルバム〜銀盤のクラシック」は、もはや芸術と音による新たな世界への入り口です。とにかく、聞いてみてください。そして聞き終わった後で感じてみてください。『芸術と音もここまで来たか………』と。
ブックレットには、一曲一曲について、誰がいつ使用した楽曲なのかきちんと説明がなされており、好感が持てます。またいくつかの楽曲については、荒川静香さん直々のコメントも掲載されています。
一番印象に残ったのは、ブックレットの1ページ目に掲載されている、「音楽、フィギュアスケート、私」というタイトルの荒川静香さんによる短いエッセイ。トゥーランドットの「ネッスンドルマ」との出会いや、この曲に対する荒川さんの深い思い入れが熱く語られていて感銘を受けました。
収録曲の中で一番私が気に入ったのは、勿論ヴァネッサ・メイによる「誰も寝てはならぬ〜トゥーランドットのヴァイオリン・ファンタジー」。あのトリノでの感動が蘇ります。何度聞いてもうっとりするほど美しい旋律だと思います。また、荒川静香さんがアイスショーで使用した川井郁子さんの「夕顔」も源氏物語の幽玄の世界を見事に表現していて引き込まれる一曲です。荒川さんご自身のコメントによると、「昨年、川井さんのライブでこの曲を聴いたとき、音楽がダイレクトに私の身体に入ってくるような気がしました。聴きながら、この曲で滑っている自分のイメージが湧いてくる、自分の滑りがヴァイオリンの音色に重なっていく・・・・そんな曲だったんです」とのことです。
とにかく収録曲・解説ともにさすが荒川静香さん監修だけあって満足できる仕上がりになっています。荒川静香さんのファンの方には是非ともお薦めしたいです。
トリノ・オリンピックのエキシビションでの荒川静香さんの素晴しい演技と会場に流れる‘You Raise Me up’の組み合わせに鳥肌が立ちました。
「あなたが励ましてくれるから私は山の頂にも立てる。。。。私はもっと強くなれる。あなたが励ましてくれるから。。。。」歌詞も素晴しいです。
その他、透明で心に響く歌がこのアルバムに入っています。私は、Celtic Woman Vol.1も持っていますが、このアルバムの方が、Vol.1よりも洗練されている感じがします。
この時期に発売ということもあり、最初はクリスマスアルバムかと思っていたら、 「Celtic woman」と「New journey」の中からの選曲と新録ヴァージョンを寄せ集めたベストになっています。 クリスマスをかなり意識しているのではと思われる曲が多いために、 Bestアルバムという意味よりはむしろ、クリスマスアルバム二作目としての意味の方があっています。 内容的には、Celtic womanの美声を存分に発揮させているハイクオリティな作品ですが、 これがBestアルバムか?といわれたらちょっと疑問点が残る作品です。(特に名曲といわれる「Soft goodbye」やアイルランドのトラッドの名曲「庭の千草」が収録されていない点)
同じタイトルのCDでは、リン・ヒラリーなどの新メンバーの歌が聴けるのでその映像版もあるものと期待していたのだが、DVDでは過去の「ケルティック・ウーマン」と「ニュー・ジャーニー」の映像がほぼそのまま使われているに過ぎない。曲と曲の流れは自然に作られているのでベストアルバムとしては良いかもしれないが、正直がっかりした。
おまけの約1時間のインタビュー集はとても良かった。ケルティック・ウーマンの生い立ちが初めて語られている。個性の異なる5人のメンバーがいかにして集められ、大成功を収めたかが語られている。新メンバーの二人もちょこっと出ている。
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