主人公の弁護士猪狩文助の印象は、 「踊る大捜査線」の和久刑事のイメージを引きずっているのか、 今は亡き、いかりや長介さんの持ち味なのか。 落語で言えば長屋にすむご隠居さん風の立居振舞いは、 とても大好きで、もう3作品は観たかったところです。 大好きなTV「赤カブ」シリーズにも似た、 いい感じの雰囲気は、 原作者が同じ和久峻三さんということもあるのでしょう。 原作も面白いです。 個人的に印象に残っているのは、4作目の「禁断の館」。 事件の内容云々よりも、携帯電話の番号をめぐってのやりとり。 正座をして操作に「構える」猪狩弁護士の姿や、 デビット伊東扮する星川との「男の面子の張り合い」は笑えます。 なんにしても、いかりや長介さんという役者の不在は 悲しいところです。
赤かぶさん、ついに登場!!
長い間待ち続けた柊茂こと赤かぶ検事、検察事務官からの叩き上げながら、
時に司法試験を通った若手弁護士を煙に巻き、老獪かつ怜悧な論理の積み上げで
真実を暴き、被告人の闇にライトを当てる人情派検事。
法曹を志す者なら、誰しも彼のように人の心の綾を無碍にしない姿勢を
持ちたいと願うはず。『家栽の人』、桑田判事もまたしかり…
『おみゃあさんよぉ〜』…至福の法廷ミステリー、ここに極まれり!!
和久峻三原作の赤かぶ検事といえば、現在は土曜ワイド劇場の橋爪功を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、やはり何といってもフランキー堺の右に出るものはいないでしょう。春川ますみ演じる妻・春子とのコンビも絶妙。森田健作演じる榊田警部補も、第1シリーズからの続投です。
そして、何といっても極め付けは、第2シリーズで娘・葉子を演じる片平なぎさ。いまや2時間ドラマの女王とも称される彼女が、若き女弁護士として登場、時には赤かぶと法廷で対決し、時には捜査に協力する。その間に垣間見える父娘愛。第1シリーズの倍賞千恵子とは違った葉子の姿が見られてなかなかいいですよ。
裁判員制度がスタートするまであとわずか。人情味あふれる赤かぶ検事の姿から、何かその時のヒントになるものが見えてくるのではないでしょうか。必見です。
前作以来3年余ぶりの文庫書き下ろしであり、久しぶりに赤かぶ検事の「おったなも」を楽しめた。高野川沿いの弁財天境内で死体が発見された所から話が始まる。地道な捜査活動から死体は大学の非常勤講師、実は裏で高級コールガール稼業を...それには訳ありと判明し、直接の死体遺棄犯が特定される。だがストーリーは意外な方向へ展開して行く。警部補だった行天燎子が今は警部に、上司の溝口警部も警視に昇進している。芝川桃子警部補が登場する。当シリーズの時の経過がうまく組み込まれている。高級コールガールを束ねるマダムに売春法違反での立件が可能かは興味深い。また裁判員制度を前提につくられた「公判前準備手続き」が法廷場面で活用され、新制度を巧みに取り込んでいる点に作者の意欲を感じる。娘の柊葉子が最後に颯爽と登場するのは、赤かぶ検事愛読者にはうれしいところだ。
和久 峻三は作家であるのに、カメラに対する情熱もすごいし、写真に対する情熱もすごい。何より、カメラ機材を使う、ということを念頭に置いて、機材分類をしていることには驚いた。他人の写真ライフに興味のある方にはいいかもしれません。
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