いわゆるオーディエンス録音のように聞こえるのだが。
しかも昨今のテーパーならもっと良い音で録れるような気がしなくもない。バスドラが弱いんだよな…
だが内容は予想より良かった。
John WettonやTony Levin、Simon Phillipsといった強者を集めているだけあって聴き応えがある。
本人が直接関わっていたわけではないクリムゾンの「Red」収録曲を多く取り上げているのが面白いところ。
特に「One More Red Nightmare」は僕の知る限り、本家のライブ演奏は存在しないはず。
あとはMahavishnu Orchestraのカバーも目を引く。
しかしこれだけの演奏ならば、やはり映像付きでドンピカの高音質で見てみたい、というのが偽ざる心境か。
オリジナル、THE WALL LIVE、LIVE IN BERLINに続いての4枚目の『THE WALL』です。世にトリビュートアルバムは数あれど、アルバムその物に対するトリビュートというのは珍しいのではないでしょうか。それだけ『THE WALL』というアルバムへのリスペクトを多くのミュージシャンが抱いているのでしょう。参加したメンバーの名前にそれが如実に表れています。キース・エマーソン/スティーブ・ハウ/リック・ウエイクマン/スティーブ・ルカサー/スティーブ・ポーカロ等々。更に、『コンフォタブリー・ナム』のようにオリジナルよりも良いのでは? と思えるような楽曲も中にはありますが、アレンジもSEもオリジナルに忠実だということが完成度の高さを表していると思います。26年の時を経て録音されたものですから、当然、音質は良好です。が、『ザ・ハピエスト・デイズ・オブ・アワ・ライヴズ』と『アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(パート'U)の繋がりだけは何とかならなかったのかと……。ELPも真っ青のぶっ飛びもんです。それでも、良い作品であることは間違いありません。購入してから、ほぼ毎日のように聞いています。
00年発表の10作目。スタジオ・アルバムとしては『ARK ANGEL』以来3年ぶりとなるものだが、この間に膨大なライヴ音源などが発表されており、そのせいもあって本作の印象がかなりぼやけてしまっている気がしないでもないが、実際には書き切れないほどの話題満載の作品である。丁度カール・パーマーらとのクワンゴとしても活動していた時期でもあるが、中心となっているのはジム・ヴィランス(g、k)、アリーナ、そして再結成イット・バイツの看板となったジョン・ミッチェル(g)、IQ、そして『Hazy Monet』にも参加していたマーティン・オフォード(k) に加えてロバート・フリップ(g)、イアン・マクドナルド(fl) スティーヴ・ハケット(g) ら多数のゲストを迎えている。セリーヌ・ディオンらに楽曲を提供しているというジムとの共作の他、10.ではリンゴ・スター(!)と共作、そして6.ではフリップ、マクドナルドとの3人での共作曲をトリオ編成での演奏を聞かせるなど予備知識だけで非常に興味深い内容を持っている。また1.と2.はモロと言っても良いほどASIAそのものの完成度を誇り、同グループ名義で発表していればヒットは間違いなしだったと思う。一部の曲のミックスがちょっと違和感があるのとややヴォーカルが荒れている点が惜しいが、全体的には一人ASIAと言っても良い充実した作品である。特に楽曲については彼のソロ作の中でもベストのものの一つだろう。
前作は、本当に久しぶりの邂逅により、ジックリ作曲活動に精を出した事が伺われる、ゆったりした曲調とたおやかなリズムに支配された大人のアルバムという印象があった。
しかし本作は、バックバンドのメンバーとのライブ活動が非常に良い刺激を二人に与えたのだろう、バロック的な心洗われるメロディの美しさはそのままに、曲調には強弱のダイナミクスが、ダウンズの音使いにパーカッシブさが、ウェットンの歌心に溌剌さと透明感があふれ出している。Trk1のハードなパートとヒュー・マクドウエル(元ELO)の奏でるチェロが秀逸なオーケストレーションのパートの劇的な展開には感動する事間違いない。Trk2のコンパクトなポップスの味わいはあのエイジアの「アストラ」に入っていてもおかしくないほど。Trk6のワルツのリズムで歌われる流麗なメロディも素晴らしいし、産業ロック的に盛り上がるTrk8の煽情度も流石だ。
エイジアの再結成が、スタジオアルバム製作につながるか、今は不明だが、ウェットン・ダウンズの二人でも、ここまでの音世界を作り出せる事に改めて感動した。オリジナル・エイジアだったら、このアルバムの楽曲をどう料理したのか、そんなことを夢想しながら聴くと更に楽しめる作品だ。
初めて聴くバンドだったので、いろいろ期待をしてしまいましたが、すべて肩すかしを食らったようです。
一番良かったのが「アルカディア」です。この曲がこんなに英語の詩と合うとは思いませんでした。他は強烈な印象を残す曲が少なく、聴き終わってみた時に、結局ボーカル入りの曲が一番印象深かったという、インストバンドとしてはちょっと物足りなさを感じました。
蛇足ですが、「Film noir」に関しては、フィルム・ノワールを研究している学者さんがたまたまこれを聴いて、「ちょっとタイトルと曲が違っているなぁ」とつぶやきました。
テクニックはピカイチなので、それは満足できます。でも印象が残らなかったアルバムとして、☆三つです。
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