全編に渡って、作者の戦闘的精神が漲った力作、あるいは怪作。
『四神金赤館銀青館不可能殺人』同様、「館」の謎に仕掛けられた叙述トリック
と、作中作のテキストに仕掛けられたトリックが、メインの仕掛けとなっています。
特に、泡坂妻夫氏の××を思い出させる後者が圧巻。おそらく文庫で再現される
ことはないだろうその仕掛けを、偏執的な意思のもと、莫大な労力をかけて構築
した作者のこだわりは尋常ではありません。
しかし、悲しいかな、それを面白がる読者はどう考えても少数派
で、大向こうをうならせることは、絶対にあり得ないんですよねw
まあ、作者自身、確信犯でやっているようなので、別に構わないのでしょう。
読むだけなら、すぐに読めてしまう長さなので、気軽に読んでみてください。
最近、料理人が主人公の時代物が、数多く刊行されている気がする
流行っているのかな
本作は、脱藩した元武士の料理人が主人公
連作短編5本を収録
タイトルが示す通り
その人にとって、人生の一杯となる料理にまつわる話が描かれる
例えば、1話では人生の最後を迎えようとしている老人の為に
彼が子供の頃母親が作ってくれた蛤汁を再現しようと苦心します
また、お客さんの心をうつような料理の創作にも務めます
俳人でもある著者らしく
各話の終盤で俳句が詠まれる場面があり
話を盛り上げます
「昭和の下町」を共通項にしたホラー短篇集です。 最初と最後の作品が同じ一文で締めくくられていたりしますが (これは『田舎の事件』と同じ趣向)、連作ではなく各作品は独立 しています。 残酷描写や作者独特の嗜好が抑えられているので、怪奇小説 や怪談が好きだという方なら、誰にでもお勧めできる作品集に なっています。 初読の際には、その点が逆に物足りなく感じたものですが、 彫心鏤骨の文体で綴られた十の物語を六年ぶりに再読してみて、 倉阪鬼一郎の真髄はやはり短篇にあると、改めて認識しました。 「昭和も遠くなった」と言われる時代まで読み継がれるべき 短篇集だと思います。
絵画と音楽にまつわるホラー。 新たなアイドルグループをプロデュースする男は既に死した邪悪な芸術家の信奉者だった。彼の絵をアイドルの新曲ジャケットに使い、曲のプロモーション映像にもサブリミナルで絵を挿入、そして歌詞に呪いのフレーズを入れ、呪いを拡散させる。やがて曲を聞いた者達が不慮の死わ遂げるようになり・・・ 真相に気付いた画廊のオーナー美島孝と彼の息子と娘、彼の擁する画家の影、警察の霊的防衛担当者等は事件を追いプロデューサーの行方を追う。 どうやらシリーズものらしい。
シリーズ3作目
前作はいささか泣かせようといったような作品が多かった気がしたが、
本作は楽しい話もあった
表紙にも描かれていますが、マスコット的なキャラ・猫の「のどか」が登場します
また、のどか屋も遂に番付に載り、繁盛します
4本の短編が収録されています
幼少の頃の僅かな記憶をもとに思い出の一皿を探す話
主人が病に斃れ、潰れ掛けていた仕入先の豆腐屋を再興する話
手習いの見本に隠された暗号を解く話
亡くした息子を偲ぶ夫婦の話 がありました
サブエピソードとして、主人公が武士時代にまねいた因縁が蒸しかえってくる話もありました
小料理屋の料理人が主人公ですが、意外に殺陣のシーンも幾つかあります
|