プラトン哲学、それを発展させたキリスト教の二元論的世界観から脱却し、デカルト以来主張され続けていた「個」の概念を推し進めたのがニーチェだ。 そして、神というモラルの価値を減じさせ、その過程を「ニヒリズム」とし、新しい価値観の構築を目指した。 ハイデッガーによれば、ニーチェが今までの二元論的価値観を崩壊させたという意味において、それまでの形而上学は終わりを告げる。また、そこから新たな価値観を想起させなければならないという必要性において、新しい時代が到来するのだと主張している。 また冒頭において、ニーチェを理解するためには、彼の作品や伝記などから推測しようとしてはならず、まず「will to power」というものを把握しなければならないと説いていた。 しかしながら、すべての存在の本質がその「will to power」であるとニーチェは言うのだが、私にはそれが実質的なものには思えなかった。 かなり内容の濃いものですが、「考える糧」とするならば良著であることは間違いないと思います。前作よりも中身が凡庸的で、こちらを先に読む方が前作も理解しやすいのではないかとも感じました。