鳴海章の航空アクション小説、ゼロ・シリーズの最終話。
今回のミッションは南米の麻薬基地を爆撃するというものです。
なんとなく、トム・クランシーの『いま、そこにある危機』に似た
話だと思いました。
前作までと違って、今回はなかなか戦闘機で活躍する場面に
たどり着きません。主人公のジークこと那須野治朗が戦闘機に
乗るのは物語の終盤になってからです。
それも、肝心の「ネオ・ゼロ」はすでに破壊された後です。
航空アクション小説としてはちょっと物足りない面もあるかも知れません。
でもまあ、南米を目的地の飛行場目指して旅する話もそれなりに
面白いんですけどね。
出撃前に過去の作品で登場した人たちの亡霊が現われて、ジーク
と語りうシーンでは、こんな人もいたなと妙に懐かしくなりました。
やはり、シリーズ第一作から通して読むのがお勧めですね。
ここまで戦闘機の世界を文字にできる作家は、はじめてです。もちろん先の大戦を経験された尊敬すべきあまたの戦闘機乗りの書いた本にはかなうべきもないでしょうが、ここまで戦闘機の世界を文字にできる作家は今の日本には存在しえないのではないでしょうか。 戦闘機の描写はもちろんのこと、というよりも、戦闘機を取り巻く人々の描写をここまで具体的にかつ正確に紙の上に表現できること自体、脅威です。作者の意図は、戦闘機の物語だけでなく、戦闘機を取り巻く人々までを焦点にあて、まさに戦闘機の世界観を紙の上の文字で表現することにあるのではないでしょうか。 自衛隊という戦争を経験したことがない軍隊ではありますが、具体的に敵と戦ったことがない軍隊の、葛藤や思い悩む姿を含めて、逆に華々しくない戦闘機部隊の部分をも生き生きと活写している小説には、ついぞ出会ったことがありません。現役の航空自衛隊の戦闘機乗りが言っているのだから間違いはないと信じています。是非とも、今後とも、このような自衛隊の戦闘機部隊を舞台にした本を書き続けて頂きたいものです。
「正義の味方をするほど給料は貰ってない」そう言いながらも不器用に信念を貫こうとする主人公。 今までの作品同様緻密に書き込まれた描写はどこまでもリアルで、「こういう店は実際にあるかもしれない」「こういう人物は探せばいるよな」 と思わせる。 特に警察組織の描写は警察官が書いてるんじゃないかと疑いたくなる位リアルだ。 ネタバレになるので内容については詳しく書かないが、今作にはTwitterやAKBのヒット曲など手の届く範囲にあるキーワードが自然に散りばめられている。 2013年の今、実際に起きても不思議じゃない小さな事件からリアリティを失わず物語は一気に加速していく。 主人公の荻生は強くてかっこいいヒーローではない。意地悪な言い方をすれば冴えなくて地味でくたびれた中年だ。 でも刑事にとって本当に必要なのは逮捕術でも推理力でもましてや射撃の腕でもない。そう思えるのが今作の一番の魅力だと思う。
今作を読み終えたら今作で活躍した人物が登場している「ニューナンブ」「街角の犬」「えれじい」の愛崎署三部作も是非。
すこし前のDVDなのに凄く綺麗でした.また宜しくお願いします..
平和ボケした日本人は読んだほうがよい作品である。 尖閣諸島を狙った中国が本格的に動き出す。尖閣諸島諸島での中国軍と自衛隊の衝突や、中国海軍の空母運用開始、中国軍の戦力を多く日本に向けてくるなど、日本と中国との間に、すぐ戦争が勃発してもおかしくないような緊張状態になっていく様子がリアルに描写されている。 この様な事が近未来に起きる可能性が高いという、作者の警鐘かも知れない。
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