「熱い指揮者」の佐渡裕の新録音。オケはあのN響。楽しみです。 収録:2005年6月、東京オペラシティ[ライヴレコーディング] SACDハイブリッド(STEREO/5.0chサラウンド)
私が中学生の頃、まだCDなど無くLPレコードで購入し聞いていました。 もうすっかり忘れていたのですが、ふと思い出しCDを購入してみました。 中学生の頃の思い出がよみがえると共に、大人になった今、再度聞いてみてると、新たな発見や新鮮味を感じました。 あの頃感じ得なかった個々の星のことや、クルーの気持ちなどに思いをはせながら聞いています。
アンドレ・プレヴィンがロンドン響時代の名盤のひとつ。 それぞれのアプローチがカラヤン盤ほど華麗ではなく 良く言うとスタンダード・オーソドックス、 悪く言うと無難で平凡。 後にロイヤルフィルと録音したものより、こっちのほうが私は好きです。
「惑星」の録音で世間的に評価が高いのは、初演者であるボールト盤を別にすると、カラヤン指揮ウィーン・フィル盤やシカゴ交響楽団を指揮したレヴァイン盤らしいですね。
このCDは以前持っていました。オケは抜群に上手いのですが、英国音楽とは思えぬ節回しや場違いな派手で明るい音色が気に食わず処分してしまいました。オーケストラも指揮者も何か悪い勘違いをしているような演奏にしか思えなかったからです。
普段「惑星」を聴くときに取り出すのはグローヴス指揮ロイヤル・フィル盤やジェフリー・サイモン指揮ロンドン交響楽団盤などですが、オーマンディ盤と大きく異なるのは英国音楽としての佇まいです。
「惑星」は一般にはオーケストラのSFチックなショー・ピース的楽曲として認識されていますが、たしかに、それだけであれば機能性の高いベルリン・フィルやシカゴ交響楽団で十分だろうと思います。ですが、この曲は英国民謡や賛美歌の旋律が多く使われている紛れもない英国音楽なのです。
人種、国籍等で音楽を云々するのは間違いだという考え方もあるでしょうが、自分が生まれ育った国で小さな頃から慣れ親しんできた音楽は母国語に近いものです。日本人も、欧米人から「日本の音楽は韓国、中国の音楽とほとんど同じだな。」などと言われたら、思わず「それは違う!」と言ってしまうでしょう。
おそらく英国音楽の本質は他国の音楽家には理解するのが難しいだろうと思います。だから英国人以外は英国音楽をめったに演奏しないし、演奏しても頓珍漢な勘違いの演奏になってしまうことが多いのでしょう。ドイツ人がフランス音楽を演奏すると構築的で堅い演奏となってしまい、フランス音楽の持つしなやかさが失われてしまうのとよく似ています。
たとえばラヴェルの管弦楽曲をカラヤンがベルリン・フィルを振ったものと、クリュイタンスがパリ音楽院管弦楽団を振ったものとを聴き比べてみるといいでしょう。鼻っから楽器の音色がまったく異なることに気付くはずです。何でもかんでもベルリン・フィルとはいかないものです。
暗いところであまり光りません。というか、蓄光できていないのかほとんど光りません。まぁ、昼間眺めるにはちょうどよい飾りかなと思います。
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