驚くほど雄大な物語。
とてもちゃんと作られているファンタジーで、今どきこんな漫画を描く作家がいるというだけで、勇気が出る。
本当に面白い話が読みたいという人に、お薦めです。
全体評価については的確なレビューを書かれている方がいるので譲ります。
荒川さんの対談とインタビュー、楽しく読ませて頂きました。
そのインタビュー内で、イスラム圏の外国人からのファンレターにふれ、
「宗教的には相容れないけれど、楽しく読んでいる」と書かれていたと言及しています。
その前には科学を突き詰めていく程実は宗教に近づいていくという、「神と科学」
の本を読んだ感想の発言もありました。
私も鋼を読み進むにつれて感じていた事があったのですが、その発言を読んだ時に
ストンと胸のつかえが取れた気がしました。
私は特定の宗教に所属している訳ではないですが、後半に行くにつれて
宗教によっては反発するのではないかと思っていた部分はありました。
それでも、読ませてしまう力があるというのは素晴らしい事だと思います。
「ぶっせん」の頃から、三宅乱丈の描く世界はほほ笑みと含羞に満ちています。
登場人物たちは、かすかに頬を染めて憧れと喜びを語り、
彼らのはじらいは、笑いの起爆剤となって紙面に炸裂していました。
その瞳が、裏切りと悲しみに見開かれたときの深い絶望、痛み。
異星を舞台にして繰り広げられる民族闘争を背景に、運命の少年が描かれる本作は、
まばゆいばかりの光、その恐ろしくも美しい輝きを鍵に、詩情あふれる作品世界を描き出しました。
作者の才能に深く感謝し、どんどんゆけるところまで描ききってほしいと願ってやみません。
もちろん手当たり次第に友人にすすめています。
会社帰りふらっと入った本屋で見つけた、ペットリマスター版。 普段リマスターとかリミックスとかいわれても、微動だにしない我が心も 名作『ペット』となったら話は別。 さっそく電車の中で読み始めたら…冒頭の林さんとサトルの出会いでもう。。目頭が。。。 以前読んだ時のことを色々思い出してしまった、そして優しい林さんの笑顔。 この物語、自分の中で熟成されていたようで、1度目よりも2度目、2度目よりも3度目と 何度読んでも面白い。魅力的なキャラが多くストーリーも綿密、 深いマンガです。
これはもはや間違いなく最高傑作なのです。
とはいえ、キャラクターと専門用語が増えすぎて、ちょっと「?」っとなることがあります。 私の頭にも限界があります。
そして、光彩やら風やら火に煙など空気の描写が多すぎて、巻き込まれている人の顔の判別がつかず 「これ、今誰が燃えた?」 となるのも、いたしかたないことです。
「早く次のページをめくりたい!」という焦燥感を我慢して読まないといけないので、忍耐が試されます。
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