よくできた作品。映像は美しく、ヨーロッパの町の感じがよく出ており、時代の雰囲気もなかなか見事です。また、何よりも音楽がすばらしい。脚本もよく練れているので、正統派のメロドラマが正面切って演じられるのですが、べたべたしないで最後まで楽しめます。主演女優のエリカ・マロジャーンは、古典的な顔立ちの美人。この時代設定の当時としてはかなり進んだ考え方であろう、自由な女の役どころですが、周りの男性が振り回されているのを承知しながら、やはり自分の感性に正直に、なおかつ自分なりの筋を通して生きていくその姿が、なんとも魅力的。この女性をめぐる三人の男、それぞれが個性のある役どころ、とくに、ヨアヒム・クロルがいい。大見得を切った、大メロドラマに近い感覚なので、今の感性からすれば、少々大時代がかかった感はありますが、ヨーロッパの感覚ですね、これは。登場人物のキャラクターが、デリケートな演出によって表現され、人間の複雑さ、なんとも知れない奥行きが描かれているので、こういったデリカシー、ハリウッド映画にはないですね。ですから、ドラマが少々大時代でも幼稚にはならないし、見ごたえがあります。これはやはりお勧めです。
これはミステリーなのか…?と思いました。とてもロマンチックだったので。
目の見えない若い女性の部屋に、警察から追われた男性が逃げ込み、
彼女に自分の気配を感じられないよう居間に身をひそめる。
でもやがて彼女は彼の存在に気付き、彼に食事を作る…
そんなふうに二人の生活は始まっていきます。
人との関係を上手に築けない2人が、無言のコミュニケーションのうちにお互いを信頼し始める様子は、
静かで、心暖まります。
人との関係に、言葉や、外見は一体どれほど必要なのだろう、という疑問さえ湧きました。
私は、目に見えているものに惑わされすぎてるな〜…と。
物語として面白く、惹きつける力がある、人に勧められる本です。
前作「スウィンギング スター」が良かったので、当時大いに期待していましたが、ちょっと首をかしげた記憶があります。。が、それほど悪くもないので、一応五つ星献上です。不満は、曲の良さにバラツキが出始めたこと。なんか、才能の枯渇を若干感じてしまった。とはいえ、3「Go for it]7「花曇りの日曜日」、9の「愛してる愛してた」は名曲。とりわけ9はスパニッシュギターをバックに、吉田美和さんの叙情的なヴォーカルがからんで、最高。でもこの後、段々魅力が褪せていくきがするのは、僕だけでしょうか。
1巻を読んだときは、なぜあのハチクロからこんなストーリーに転んだんだろう?と不思議でしたが、巻を重ねるにつけ、そのよさがじんわりと胸に広ってきました。とってもやさしい、癒しの物語ですね。登場人物はなんのことはない人ばかりなのに(いや、棋士ってことは特殊っちゃ特殊なんですが)自分も救われるような気分になって、あんまりやさしくて、思わず涙がこぼれました。冒頭の島田さんが山形に帰るエピソード、最後の天道虫のエピソード、たまらなかったです。大切な本になりそうです。無条件に星5つです。
2000年にリリースされた本作では、旧ユーゴ、ポルトガル、インド、メキシコ、ルーマニア、ハンガリー、アルゼンチン、イラン、レバノンと世界各地のロマ音楽(ジプシー音楽)に挑戦しています。
悲哀が希望に変わっていくM1、インド音楽のリズムとクロノスの旋律が見事に共存しているM3、メキシカン・ロック・バンド「Cafe Tacuba」のEnrique Rangelが作曲したM4、ルーマニアのジプシー・バンド「Taraf De Haidouks」と共演したM5、お馴染みのライリーの作品を取り上げたM7などが印象的で、それぞれ原曲の持ち味に弦楽の旋律が立体感を与えており、心地よい融合が感じられます。
また、インド音楽への関心が垣間見えるほか、「Cafe Tacuba」は次作『Nuevo』にも参加していますし、「Taraf De Haidouks」も西欧デビュー作となるベスト盤はデイヴィッド・ハリントンが選曲に関与しいるなど、その後のクロノス・クァルテットの方向性が凝縮されています。
本作を聴いて、クロノスと一緒にジプシー音楽を巡って世界一周してみませんか?
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