現役の医師です。以前は小児外科医をしていました。あおきてつおさんの漫画は「緋が走る」のころから愛読しています。 絵がきれいで話の運びもよく読んでいて飽きません。でも・・・あおきさんの漫画に出てくる人々はあまりにもよい人過ぎます。「島根の弁護士」の時にも感じたことですが、主人公に相対する人たち(ここでは患児の父母)がいかにも簡単に改心し、反省しているように見えます。医療、特に小児医療の崩壊の原因の一端は権利意識だけ肥大化した保護者にあると思っています。 重症患者を先に診ようとしているのに「私はもう○○分も待っている」という母親が出てきます。その話では待っている子供が「僕大丈夫だから」といってその場は収まるのですが、実際の現場はもっと殺伐としています。一生懸命蘇生している最中に入ってきて「俺の子供を先に見ろ!!」と怒鳴り散らす親など珍しくもありません。やけどの子供が亡くなる話でも、中耳炎の話でも今の時代すぐ訴訟となります。 そこには、「こんな時間に診てもらってありがとうございました」という気持ちなど、かけらもありません。 これには増えすぎた弁護士のいい飯の種、という側面もあるでしょうが。殺伐とした現実に対する清涼剤のような、大好きな作品です。でも、自分の中のすり切れてしまった心を疎ましく思いながらも、「もう少し現実を描いて欲しい」とも思うのです。
(収録内容) 狛犬 談合 セクシャルハラスメント 子供 恋占い 壁 検死 地方の新米女性弁護士の仕事内容を綴った作品です。家裁の人という作品がありましたが、ちょっとそれに似た雰囲気があります。ただ主人公の女性は美人で明るいですけど。 色々な相談や弁護依頼を引き受け、法律だけでは割り切れない人間の情が絡みあい、それを主人公が解きほぐしていくようなそんな印象が見受けられます。 今巻で好きなストーリーですが、談合というお話です。談合があると推測して談合を申告して減免制度を利用してもらうように建設会社の元社長の先代を説得します。 本来ならば、2代目を説得して申告するように説得するのが定石のようですが、主人公の水穂は先代を説得して申告するように言います。その見据える情熱と説得するいきさつのストーリー展開はうますぎるとは思いますが、この作品に一貫して通して綴られる人間の感情の揺れ動きの描写が好きです。 次巻楽しみにしています。
こ、これは.....。もしかして二番煎じ? などと危惧しましたが、さにあらず。 主人公の女性が個性的で、開けっぴろげで非常に面白いです。どうしても食に関するお話ですと、某社の「美味○○ぼ」と比較してしまうのですが、ヒロインが農水省のお役人ということ、夫がシェフということが、某漫画との違いを出しています。 巻末の読み切りのお話で、最後の方で「わきゃ」と連呼するヒロインが、「それは女性器のことだよ」と耳打ちされて赤くなっているシーンが印象的でした。
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