サニーデイのアルバムはなぜだろう、とても季節を感じさせてくれるものがある。そして、このアルバムはとてつもなく恋力を沸かせるものがある。 恋をしていなくてもしたくなる。していてももっと恋に落ちたくなる。 胸を締め付けるような青さがあるけどでも青すぎず、熟しすぎず。 大人になっても変わらない10代のような気持ち。日常。
クーラーのないアパート/無風の熱帯夜 街の灯かりはすぐそこ/夜はまだそこで待っている 気の抜けたビールを片手に『24時』を聞いている。 出かけるのは今日はよそう。 君からの電話をそっと待とう。 ~そんなだらだらと続く夏の夜に、是非。 天才・曽我部恵一の珠玉の一品。 必聴「シルバー・スター」、「24時のブルース」。 ~シングルCD付の2枚組みです。
この辺りのサニーデイは今聴いてもある種の凄みを感じさせる。このアルバムがリリースされた約半年後にはあの「サニーデイ・サービス」が出ているわけで名曲量産体制、全盛期に入った事を実感させたものだった。特にこのアルバムの構成の完璧さには恐れ入った次第。 1、2枚目の爽やかさから一気にシリアスになった逞しいオープニングの1からして成長の度合いが段違いであることに気づく。シングルになった素晴らしい名曲2、ディストーションの効いたギターが力強い3、一転して軽やかな70年代風歌謡フォークの4、素晴らしいギター・ソロが聴ける弾き語りフォーク5、このアルバムでは唯一昼を感じさせるポップな6、珍しくヨーロッパを題材にしたタイトルソング7、心地よいスロー・ナンバーの8、!このアルバムというか、サニーデイを代表する力強くもはかなさを感じさせる甘酸っぱさ全開の大名曲9、そしてアルバムのピークから静かに、そして淡々と別れを告げる10と聴いていてあまりの完成度に溜息がでるばかり。全10曲、どれをとっても素晴らしい。 完成度という点を考えれば後期の作品も忘れられないけど、全体の統一感といい一曲、一曲の素晴らしさといい個人的には最も敬愛するアルバムです。正に一生モノですぜ!
一曲ごとの完成度も高いアルバムですが、全体を通して聴けば物語を感じさせるようなスケール感があります。ポップよりの曲もありますが、アルバム全体にはどこか憂鬱な通底音が流れており、それがこの作品の色として出てます。それぞれの曲に情緒があり、聴く時や場所とは関係なく響いてきます。しかし、必ずしも内省的というわけではないです。これは、旅のアルバムです。最後まで聴き終えた頃には、あなたは今までとは違う景色を見ているかもしれません。
曽我部氏のやさしい歌声と、円熟期のバンドサウンドが結実した逸品。
春の気配を感じる夜に、このアルバムを聴きながら散歩をすると幸せな気持ちになれる。
『Intro』から一貫した口ずさめる良質なメロディラインも評価したい。
本作を手がかりにしてサニーディ・サービスの作品群を手繰っていくのも良い。
個人的には『万華鏡』や『Let's Make Love』が特にお気に入り。
|