遊郭に
「世の中の真実がある」というスタンスで映画が進行しますが
「遊郭に身を落とした人間は結局は幸せになれない」という結末を持ってくるあたり、見ていて少し辛い。ここを最初と最後に出てくるストーリーテラー役の「作家」にうまく語らせているところはうまい。
この映画のよさは、そんなところではなく、何気ないせりふが、かなり粋だったり、男と女、はいつでもどこでもそんなに変わらないということを語っている点です。
山本富士子さんの、引っ付くくらいの、男にまとわりつく愛情の表現はすごく良い。それが一番の見所です。あれくらい素直な愛情表現ができるといいねえ。
吉村公三郎監督には「夜の〜」というタイトルが3つあり、これはその二つ目です。水商売の世界を描き、女の戦いを描く風俗もの。亡くなった船越英二の代表作の一つとしてテレビにスティール写真が何度も出ていました。
なお、クレジット表示にはないですが、田宮二郎が楽士役で登場します。台詞もちゃんとあります。当時まだ柴田吾郎と名乗っていました。
あとは「夜の素顔」もDVDにして欲しいです。これだけスコープ画面で内容は舞踊の世界でした。
巨匠黒澤明と、クロさん、コンちゃんとお互いを呼び合う
日本代表する映画監督の市川崑の本です。
関わりがあった人たちのインタビューを元に
市川監督の人柄や、どういう点にこだわっていたかが
少しだけ分かるようになっています。
身につける物は高級品のみ。
文房具はエルメス。
コマ単位でも間違いを見抜く眼。
でも本当は現場の助監督や美術担当の人の話ももっと伺えていたら、
もっと現場でのコダワリ部分のエピソードが掘り出せたんじゃないかと
市川ファンとしては、もっと奥深い事まで知りたいのです。
そのへんは、数多く出版されている黒澤本に比べて、少々弱いといえる。
が、一般の映画ファンなら、このぐらいの話がちょうどいいのかもしれない。
市川ファンとしては、金田一シリーズのLDやDVD BOXに収録されていた
監督自身のインタビューよりも濃い内容が知りたいのです。
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