ある一群の歌が新左翼に「演歌」と命名され、マーケティング戦略により「日本の心」と喧伝されるに至った経緯を詳細に暴露(?)しています。知的好奇心を満たされる面白い本ですが、読んだ後に「・・・で?」と感じるのも正直なところです。
結局、本書の目的はなんでしょうか。演歌の地位を貶めるのが目的でしょうか(結果としてはそうなるかもしれません)。一般に音楽の「ジャンル」は、このようなマーケティングの要求によって作られることを示したいのでしょうか。あるいは、演歌のマーケティング手法を学べということでしょうか。
著者は「演歌」という一音楽ジャンル(とされているもの)の命運を明らかにすることが本書の目的であるとしていますが、なぜそれをするかが語られていません。これだけが目的では雑学のような意味しかもたないでしょう。
本書は「演歌」が「日本の心」かという問は簡単に答えられるものではないと結んでいますが、それも当然です。「日本の心」の定義など難しいからです。(本書ではこちらの定義付けは全くなされていませんので、本気でこの問に答えようとしているとは思えません。)そもそも「日本の心」だとはっきり言えるような音楽ジャンルなどあるのでしょうか。
要するに著者は演歌ナショナリズムが嫌いなんだと思います。ただその執念で本当によく調べられていて、面白く参考になる本です(笑)。
ミュージック・マガジン9月号は、久しぶりにアルバムが発売された為か、山下達郎さんの特集が約36ページ組まれています。その内でも読み物は、達郎さんのロング・インタヴューとヒストリー&アルバムガイドでしょう。
そのロング・インタヴューで達郎さんは、ようやくハード・ディスク・レコーディングへの対処法が解ってきて、その分、詞、メロディー、その他に集中できるようになってきた、また、ロックンロールはジュヴィナイル・カルチャーだから、50代、60代で何を歌うのか、とても難しい、また、数年前から、ツアーを再開していますが、このご時世ですから、今までまず言えなかった。お互い頑張って生きていきましょうというようなセリフを言わざるをえないようになってきたと述べています。また、今回のアルバムについても興味深い発言をしています。そして、自分がミュージシャンとして36年間やってこれたのは、音楽業界のシンパシーという要素が非常に大きい、そして、音楽業界を取り巻くシステムは、酷いけど、音楽自体は、1度も嫌いになった事が無いとも述べています。そして、ヒストリー&アルバムですが、全体を5期に分類し、各々解説しています(しかし、そろそろ完璧なデイスコグラフィーが欲しいですね!)。
しかし、今号で驚いたのは、レ―コード・コレクターズである程度知っていましたが、中村さんの自殺です。湯川さん、原田さんの追悼記事、また、絶筆?のとうようトークスが掲載されています。
また、今号は何かおかしいと思っていましたが、紙質が変わっています(少し悪くなった?)。安定供給のためらしいです。
土屋氏を中心にしたDIYバンド、ツチヤニボンドのセカンドアルバムです。
前作ではポップ、ロック、ワールド、サイケ、はたまたシカゴ音響派かいろいろな方面の音楽をちゃんぽんした独自の音楽性でしたが、本作でもすばらしい音楽を聞かせてくれます。
前作から一聴して変化した印象を受けたのはギターサウンドが全体的に表に押し出されている点でしょうか。前作ではややアコースティックな音が目立ちましたが、本作ではギターを歪ませたり、刻んでみたり、前回にはなかった多様なサウンドを見せてくれます。そのサウンドの変化もあいまってか全体的なその音楽性はますます分類不可能になった様に感じます。
ツチヤニボンドを始め、独自の音楽性をもったDIYバンドが最近増えてきている印象を受けますが、ツチヤニボンドはその中でも多種多様な音楽を吸収している稀有なバンドのひとつだと思います。今回アルバムに付属されているライナーノーツ(本当に紙一枚でしたが)に土屋氏の影響を受けたと思われるアーティストについて幾人か触れられていましたが(正直半分以上知らなかったです)、そのジャンルレスな感性からこの音楽性が作られたと思うと納得です。
ただ1つ短所を挙げるとすれば歌詞カードがついていないこと、ところどころボーカルもリバーブをかけたりして歌詞が聞き取りにくいのでつけてほしかったなぁ。
1、岡林さんとはっぴぃを奇跡のジョイントと思わないよう願います。
神様が既にいてチャンスをあげたいURC側と、音楽性の違いから、
まったく乗り気でなかった無名のはっぴぃ。
DVDの中で泉谷さんとの対談で語られますが、当時の評価は
さんざんだったと。
神様がエレキに堕した、、、、、と思った人が多かったんですね。
この感じまさに隔世です。
2、松本さんの思う「微熱少年」を画像で体現できます。
細野さんと大滝さんに目がいきますが、初期の仕切りは
松本さんでしょう、やはり。
転機となったのは、爆笑問題・田中の登場だったと思う。
それまで、知る人ぞ知るとか、誰も知らないという人選が『QuickJapan』の表紙の特長だったと思う。
しかし、上記の田中登場以降サブカル寄りとはいいつつも比較的メジャーな、表紙買いをさせるような人選になっていって、最近は「ウンナン」「銀魂」など知らない人の方が少数な表紙になっていた。
今号は久々に、「誰?」という表紙だった。
なので、昔の(vol20以前の)号を読んだ時のような興味深さを覚えながら読めた。
「神聖かまってちゃん」が本当に国民的バンドになるのか、それとも時代の徒花なのか、今後は見守って行きたいと思った。
小島慶子インタビューは大変興味深かった。
AMラジオの今現在エース級番組『キラキラ』の今後に、その動向に直結する小島慶子の退職騒動。
心配していた人の多くにとって、安心を得られるインタビューになっているのではないか。
特に小島のAMラジオ復帰を喜び、評価していた伊集院光が感激するような発言もあったと思う。
あとはいつも通り、細かいコラムは全て興味深かった。
他のインタビューも吉田豪のサブカル対談、ゲスト鈴木慶一も良かったし、羽海野チカの『3月のライオン』のインタビューも良かった。
今号は表紙に訴求力がないかもしれないけれど、内容は充実しているので、是非とも読んでもらいたい。
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