正直、おもしろかったです。 確かに魅力のひとつとして、新人とは思えないほどの構成力があります。序盤から中盤にかけて広がった謎が終盤に向けて一気に収束していく感じ。ある種の心地よさを感じるくらい、よくできていました。
しかし、本書の魅力はなんといっても、この作者が描く世界にあると思います。 ひとりの少年とひとりの少女、このふたりを中心とした、はかなくて、きれいだけど、ほんのちょっぴりやさしくない、そんな壊れそうな世界をやわらかな風でつつんでいるような…、そんなことを感じました。
自分が勝手に感じたことなので、あまりうまく言葉にできているとは思えませんが、自分はそんな世界がとても気に入ってしまいました。
ただ、正直に書くと、読む人を選ぶ作品だなぁとも思いました。万人受けしない、というより、魅力に気づけない人がいる、といった感じです。 この作品がいいと感じるひとは、作者が紡いだ言葉をひとつひとつ丁寧に、それこそかみしめるように本を読むひとが一番魅力を感じることができるのではないかと思います。
最初に書いたように物語として本当によくできた作品ですので、一度手にとって、読んでみることをオススメします。それでこの作品の魅力に気づけなければただ単に読むのをやめればいい話ですし、魅力的だと感じたのであれば、ぜひ周りの人にもその魅力を伝えてあげてください。 個人的にはいろんなひとに読んでもらいたいなぁ、と思います。
「サクラダリセット」の第6弾であり、1〜5巻で徐々に
積み上げられた咲良田ワールドの集大成でもあります。
表紙絵の春埼の笑顔がとても印象的ですが、1章ではケイと春埼の
関係に、やっと変化が訪れます。(智樹、ナイスアシスト!)
その後は、頻繁に語り部と時代を変え、ストーリーが進行していきます。
管理局対策室室長でありながら能力を否定する浦地の出生と真の目的。
二年前に自ら死を選択した相麻菫のその悲しすぎる理由。。。
1巻からの伏線が回収され、回収だけでなく新たな伏線を張る
という技法には、毎度のことながら圧倒されます。
自分の”目指すべき姿”を見付けたケイが、どのように動くのか。
今作では使用されなかったリセットのタイミングを含め、
来春に刊行予定のシリーズ完結巻が楽しみです!
dvd制作途中で何があったのでしょうか、まさかこのタイミングで発売延期とは。
大人の事情??Xmas〜年末年始、観るのを楽しみにしていた人達も多かっただろうし、
あんまりです・・・。
私はこの発売延期を機会に、豪華版から通常版へ注文を変更しました。
今までおまけ目当てで豪華版を購入していましたが、最近のおまけははっきり云って
お粗末です。box初期発売の「はっぴ」「陣羽織」は良かったけど、「なりきり母ちゃんコント子供
コスチューム」とか「ミニチュアやかん型貯金箱」??全然魅力を感じません。場所を取るだけだし。
dvd自体の中身に期待します。
サクラダリセットの登場人物達をより深く理解出来る短編。 また短編集でもサクラダリセットの持つ雰囲気は変わらず、逆に長編と違って ちょっとした依頼や日常を描いているので、ストーリーを追いかける必要がない分 より雰囲気を堪能出来るという長所も。 3巻まで読んでる人ならオススメ。
緻密な構成が、シンプルな情熱へと収斂してゆく。
全能のようにも見えた相麻菫は片思いの相手のために、愚かな行為に走る。少女は、理不尽なくらい高価な贈物を送るため、七巻もの長さになる儀式を組み上げた。あまりに多くの犠牲が供物として捧げられた。陳腐でささやかな贈物のために。
ケイは完璧な意志の権化にも見える。それでも、奇妙な状況において不条理に謝罪させてもらいながら、過去の重みと、己の限界を思い知る。
新登場10分間限定のあの人は、双子の姉が生き残るため、ほどほどに有意義に消費されてゆく。そんな生命体は困った風な微笑を残すのかもしれない。
それは緻密に練られた計画にも見えるけど、不条理で感情的な狂乱でもある。そんな中で、青々しく瑞々しい少年少女の純粋な情熱がほとばしる。
何も諦めずに進みいつかすべてを手に入れるのだと言い張り続けるケイが純粋で、まぶしい。 怖れを知らぬがゆえの勇敢さではない強さがすばらしい。
もはやケイは、願いを押し通すために傲慢であることを厭わない。
相麻菫は、石ころを王冠に変えた。 ケイは、王冠を掴み、王権を勝ち取った。 春埼は城。王者の住まいにして、守るべきもの。
いつか、その王権が理不尽な力で打ち砕かれるときがあっても、 いつか、その精神が不条理な石臼でひき潰されることがあっても、 いかなることがあろうとも祈り願い続けることを願う、意志への賛歌。
とてもシンプルで緻密な全七巻の賛歌だった。
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