短編三作収録。
エロスも少しありです。
『MaMaFuFu』に収録されている「道楽者の海」と展開がほぼ同じ「箱の男」という作品があります。
しかし、こちらはページ数が倍増し、警察や住人?に追われ微かなストーリー性もプラスされたり、世界観も多少変更されたりと、全体的にはボリュームアップした様に思います。
けれど「道楽~」に比べると一コマ毎の書き込み方が寂しくなっている様に感じ、コマの隅々までじっくりと楽しむには少し物足りなく感じました。
それでも全くの別作品と考えられないことも無いので、比較しなければ相変わらずの良作と言えます。
本タイトルの赤タイツ男もほとんど喋らない割にはなんとなくその人となりが見えるようで良いキャラクターでした。
自分の中ではとても満足ですが、他の著者の漫画と比べることにはあまり意味が無いように思えます。
なので評価の星は敢えて逆柱さんの他のタイトルと比べれば、ということで限りなく5に近い4。
この方の作品に初心者向けも何もないと思いますが、エログロ&どこかのほほんとした夢の様な世界を覗きたい方には是非手に取って欲しいと思います。
奇病によって毛の生えた蛙の姿になってしまった父に代わって家計を助けるため
働き口を探す少女アンヌは、ひょんなことからカッパたちが生活する巨大潜水艦の
雇われ料理人として暮らすことになる。深海に潜り巨大蛸や巨大蟹と戦い、航海を
続ける日々。ある日のこと久しぶりに上がった陸地で、アンヌは食料買い出し係に
選ばれる。しかし、彼女が一匹のカッパをお供に始めたおいしいキュウリを
求めるお買い物は、やがてあらぬ方向へと転がりだしていくのだった…。
装丁とあらすじから想像がつくことと思うが、きわめてキテレツかつヘンテコな
漫画である。奇妙な光景に奇妙な人々、奇妙な生き物たちが次から次に登場し、
ときにお話にからんだり、ときに本筋にはまったく関係なくコマの隅っこに
映りながら、それぞれこの突拍子もない物語を彩りながら去っていく。読む者の
心に、とても不思議な後味を残しながら。
この作品に描かれているのは一種の幻想、そう言ってしまうのは簡単だ。
しかし、幻想は幻想でも、ときにものすごくノスタルジックで、ときに身もだえするほどに
蠱惑的な幻想である。まだ何も知らなかった子どもの頃に思い描いた、遠い遠い
ここではない「どこか」の風景。そこで何が起きているのか、そこはどんな場所なのか、
読む者の好奇心を激しくかきたてながら、絶対に届かないことがわかっている、
だからこそ余計に踏み入りたくなる甘い異世界。そういうものがこの一冊の中に
ぎっしり詰まっている。逆柱いみりさん以外のどんな人にも演出できない
とびっきりの不思議な旅行に、少女とカッパたちに連れられて旅立つ人が
一人でも増えることを願っている。
(^p^)念には念を入れ、パンにはあんを入れ・・・
このフレーズに我々の人生の全てが詰まっているといっても過言ではない
と大きな声では言えませんがこのイメージの胎内巡りみたいな漫画、大好きです。
前半30頁位は良く有る(と言っても一般では滅多にないのですが)ガロ風味の意識の流れ漫画だと思っていたのですが、大きな屋敷に二人で暮らす主人公少年の日常と旅を追う様になった40頁以降は第二次性徴直後だがまだ知能程度は小三位の主人公二人がブリーフ(またはフルチン)・ハイソックス姿で食欲性欲遊戯欲全開でミニ怪獣は踊り食うは、映画スターを襲撃して刑務所に入れられるは、その売店の姐さん達に童貞は奪われるは、クネクネ、にょほにょほと歩き回るは、と大活躍です。
異形の世界の見事な少年萌え漫画です。
リアルな少年の心象世界と仲間内ならではの特殊な言語感覚をこうまで魅力的に、突き抜けて遠慮会釈無く描き切った作者に脱帽です。
陰毛は生えていませんでしたが自分の小学生2,3年生の時を強烈にフラッシュバックさせてくれて、かつ説教・教訓じみた所は一点も無い素晴らしい作品です。
この子たちの豊穣な世界には心底羨望嫉妬します。ああ、この世界に戻れたら。
当時、自分はこんなにアホで自由だったなあ、と勝手にノスタルジーに浸ってしまいました。
後、怪獣&SF映画好きの方には心の琴線に触れるシーンが多々あると思います。
全ての方が同様の印象をお持ちになるとはとても思えませんが、個人的には☆5つ。
但し、女性の描写が本作は余り宜しく無く、少年の去勢不安を煽る様なキャラクターしか出て来ませんので、ご注意を。
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