町田氏のエッセイは、文章のリズムが良いのと文語調の堅苦しい表現が絶妙にマッチしていて、なおかつサービス精神に溢れていると思う。 今回のエッセイは題名からも一目瞭然。猫たちとの毎日の暮らしぶりが仔細に記されています。町田氏の、猫に対する視線のやさしさ。 猫たちとの面白おかしくつつがない日常が綴られています。でも、楽しいだけじゃない日々もまたあるのでした。 拾ってきた子猫を世話するも、病気によりその猫と辛いお別れ。その後、長年暮らしてきた年寄り猫をも看取ります。 仕事に追われながらも、猫の世話に全力を注ぎ、悲しい別れを経た後では、もっと何か出来たのでは?と自問する姿勢に、 今までのエッセイではあまり語られる事の無かった、愛情溢れる人となりがにじみ出ています。 猫好きさんには一読をお勧めします。新しく拾った猫を、病気で死んだ猫の生まれかわりだと断言してたりして、こと猫に関してはウエット を自認する私でさえもちょっと吃驚しましたが、読み進めていくうちに納得していました。そういう再会があると思えれば、別れの辛さ、して あげられなかったことを悔やむ無念さも、いくらか薄らぐような気がします。 そして読み終わった後、家の猫はどういう癖があったっけ?なんてちょっと観察してみたくなる。今居る子との生活を大切に一日一日過ごし ていきたいと思わせる、そんな良書です。
一時期のフリクションやソロ作品で評価の高い
恒松正敏のギターが中心の音作り。
北澤組以降の巧いミュージシャン達による、割と凝ったアレンジの延長線上ではあるが
ギターに焦点があっている分、攻撃的で分かりやすく感じる。
11.どうにかなる は町田康自身の作曲。
無二の歌詞、ボーカルの迫力は健在。
パンク歌手なのは間違いないのだが
歪んだギターリフに合わせてガンガンに歌うのが聴ける音源は実は貴重。
ジャケットは画家でもある恒松正敏の筆による。
中のブックレットも面白く、大きなメンバーの顔写真が載っているのだが
捲るごとにどんどんオッカナイ顔が出てくる。
アートワークも最高。
多彩なミュージシャンとのバトルを謳っているが、どちらかというと芸能生活○○周年的なメモリアルアルバムに聴こえる。
この人の場合、やはりインスト曲よりも強力なボーカルにリフで絡みつくプレイで本領を発揮するのではないか。
このアルバムの中では、町田康との「タンタルスの誤読」、本人のボーカルではあるが中村達也との「カラス」が良かった。
「PHOENIX」だとDAVID SANBORNのぶっ飛び方に布袋がついていけていないし、「Stereo Caster」ではCharに対して一歩引いた演奏というか、掛け合いのフレーズではCharとの表現力の差を感じてしまった。
個人的にはかなりお薦めです。落ち込んだときに読むのに最適。 おもいがけないところで笑わされるし。 また、町田康の価値観・世界観が強烈すぎて、自分の悩みなんてまだまだしょぼいな、と思えます。 読み終わる頃には、すっきりとさっきのうじうじがなくなっているのです。 チャプター毎についている写真は、文章のノリとはまた違って、静かで素敵です。そのバランスも含めて、丸ごとお気に入りの1冊。
町田さんの作品にはCD,小説、エッセイ問わず、たびたび「重複するキーワード」が出てくる。 例えば、最近出版した短編集に「ゴランノスポン」という作品があるが、「犬とチャーハンのすきま」の11曲目『あなたにあえてよかった』の中に(この番組はご覧のスポン)というセリフが出てくる。 これはあれか。 「この番組はご覧のスポンサーでお送りいたします」という、テレビのアナウンスを途中でオフにしたりすると「この番組はご覧のスポン」で切れたりすることがあるけど、あの瞬間に町田さんになにか天啓のような閃きがあったのだろうか、このワードがよっぽど気に入ったのだろうか、なんて考える。それを考えること自体が、町田さんを好きな自分としては楽しい。 町田さんの言葉のチョイスやセンスによる世界観は唯一無二。笑った後に、なんとなく幸せな気分を残響させてくれる。 2曲目の「俺はいい人」とか、めっちゃ名曲です。
|