唯川恵の小説は好きでよく読んでいるが本書には恋愛などは出てこない。それなのになぜかすごく引き込まれて一気に読んでしまった。
4人の主人公がどんどん「いってはいけない方向にいっている」という切迫した感じが伝わるのだ。
整形をしたことがない人間にとって整形した感想というのは想像の範囲でしかないが、やはり自分の身体に故意にメスを入れるというのは何らかの影響を与えるのかも知れない。
そして欲しいものを買うかのごとくどんどん自分の身体を変えていった結果、「自分とは一体何者なのであろうか」というアイデンティティの崩壊が起こるのだろう。
きっと世の中には実際に本のような女性(さすがにここまで狂ってはいないだろうが)も多かれ少なかれいるんだろうなと思った。
普通に年を重ねて皺が増えても体重が増えてもそれって幸せなことなんだと確認させられる一冊である。
男性はともかく女性にはおもしろいと思う。
著者の作品は初めて読んだ。
普段は女性目線で描かれているが、今回は全編男性目線で描かれている異色の作品だ。
主人公の男の多くはどこか自分勝手で、男性の読者には自分のことを言われてると感じる人は多いだろう。
若い男性読者にはこの本を教訓にして彼らのような失敗はしないでほしい。
硬質な美しさと、どこか曖昧な柔らかさを合わせもつ
タイトルと表紙絵に惹かれて、
著者の作品を初めて読んでみました。
ドラマをみているような気分で一気に読みました。
それぞれの立場にある男女のリアルさと、
(個人的に友章だけは何を考えているのかよくわからなかった)
小説らしくうまく計算されたハプニングの設定、
ドロドロした絡みのわりには、それぞれの落ち着き場所が
「きれい」にオチて描かれていました。
たしかに、
「不倫」の美月と浮気をした「朔也」がうまくいくなんて許せない、
といわれても仕方ないが、
もし英利子に子どもがタイミングよく授かっていても、
その後子育ての過程であのお姑さんとうまく折り合えたか・・・
それぞれのキャラの描き方が、都合よく単純すぎる気もするけれど、
それだけに意外と深い真実をついているおはなしだとも読める。
人間関係、環境が作り出す悲喜こもごも、タイミングの妙、
こんなにきれいにまとめてしまった結末に、
かえって人生の面白さを味わえたので☆四つ。
本の帯とカバーの写真に惹かれて唯川さんの本を初めて買いました。 主人公の年齢に近いので、バブル前後の記憶を重ねながら頁をめくりました。 それにしても最近は、女性作家の小説に読みごたえのある作品が多いですね。 都知事が芥川賞選考委員を辞めるにあたりご託を並べてますが、老いの繰り言です。 ますますのご活躍をお祈り申し上げます。
学生の僕には、高すぎて手が出ないよぉ~!
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