前作「3000年の密室」とは異なり
今回は、現在の殺人事件から始まる
時刻表が掲載されていることやタイトルが示す通り
バリバリのアリバイトリックです
また、4000年前の謎は結構わかりやすいかも
現在が文字を多用した文化であるのに対し
縄文時代が、音声による文化であった点など
縄文時代について書かれた部分は非常に魅力的であった
柄刀さんの本格ミステリは、私なんかには難しすぎるというのが 他の作品を何作かを読んでみての感想でした。 雑とか手抜きとかは感じたことなかったけど。
そんな柄刀さんの絵画をモチィーフにしての短編集。絵画って割に軽く好きなので、買ってみたら。
いや、面白かった。絵画の蘊蓄と謎に現代のミステリが絡むというお約束の構成ですが、一話一話どの作品も「ああ」「ああ、そうだったのかあ」と ずんずん来ました。
いいもの読んだーって感想です。 これからもこのシリーズ読みたい。 満足。
江戸川乱歩氏や二階堂黎人氏の作品のような雰囲気が漂うなか、次々と起こる密室殺人事件。密室は物語の設定と不可分のものであるため、必然性があり、犯人こそ終盤であかされるものの、密室のなぞ解きは順次行われていくので、900ページを越える大作だが、退屈することはない。
ただ、論理的な解明が不要でよければ、犯人を推測することは、ミステリなれした人にとって、難しくないと思う。
ラストシーン近くに雨が急に降り出すシーンがある。この哀しい物語を象徴する涙雨といえるかもしれない。
五つの密室事件が扱われている本作。
第一の密室は、いわば“三重密室”。その最終ラインは、出入り口のそばに居た
人々による“視線の密室”なのですが、犯人は、心理的仕掛けをほどこすことで、
思いもよらない密室からの脱出方法を隠蔽しています。普通なら禁じ手と言える
その脱出方法を成立させるために、“三重密室”を構成することでカムフラージュ
しているのが秀逸です。
第二の密室は、茶室の襖に、木の枝とはさみを刺すことで構成した“和の密室”。
形態だけでなく、動機も他の四つの密室とは異質で、その切実さが胸を打ちます。
第三の密室は、犯人が構成した密室の外側に死体があるケースで、密室
内部に容疑者が倒れているという、カーの×××的趣向も採られています。
よく練られた独創的な物理トリックが用いられており、感心させられました。
第四の密室は、椅子に縛られた被害者を残し、直前
までいた犯人が、密室から忽然と消す、という趣向。
古典的な小道具が用いられているのですが、
それを気取らせない隠蔽の仕方が秀逸です。
第五の密室は、暖炉に頭を突っ込んだ謎の男
を残し、犯人が密室から消失するという趣向。
密室の扉に貼られていたイシスの紙が、装飾の意味だけでなく、脱出する
うえで、実効的な影響も捜査陣に及ぼしていたというあたりが素晴らしい。
真相は、第一の密室と同様、普通ならアンフェアのそしりは免れない代物なのですが、
「顔を焼かれた謎の男」といった存在を導入することによって、ギリギリのところで反則
にはしていないのがお見事です。
本作は、圧倒的なボリュームと大時代的な世界観で、明らかに一般受けはしない
でしょうが、愚直なまでにトリックとロジックを追究する真摯な作風は、近年、希少
であり、評価されるべきだと思います。
著者のデビュー作
3000年前のミイラから仮想現実の話まで
壮大な展開をみせる本格ミステリ
弥生時代が約500年なのに対し
縄文時代は一万年も続いた
縄文人というと野蛮であるという偏見をもっていましたが
ゆったりとしたライフスタイルであったとのこと
情報量が豊富で面白かった
比較的淡々とした文章で綴られており
壮大な時を巡る話にぴったりだった
その反面、
登場人物に若干、感情移入しづらいかも
|