オーケンの本は肩肘張らずに読める。帯に劇団ひとりさんが書いていますが、気付けば我が家の本棚でもオーケンの本が一番多かった(笑)渋沢龍彦さんをいつの間にか抜かしてました。筋肉少女帯も復活したし、今年はオーケンが熱い!と僕は勝手に思ってます。オーケンが選ぶ筋肉少女帯楽曲ベスト30も紹介されてますのでファンにはなおのことお薦めです。
90年代の初頭、ホコ天・イカ天を中心に始まったバンドブームの
喧騒と終焉を当事者が生々しくもほろ苦く、また愛情を込めて
記した一冊。
大槻ケンヂという人はバンドブームの渦中にいて、自分が当時
者ではなく、あたかも評論家のような口ぶりで状況を語っていた
りもしていた(UFOと恋人)が、バンドブームから15年(!)
以上の歳月を経て、「あの頃は良い想い出しか無かった」と
書けるほどになったのか、と思うと、当時、ロックバンドの展開に
ドキドキしていた身としては感動を隠しきれない。
当時の喧騒を最も端的に表したブルーハーツの「リンダリンダ」の
一節、「ドブネズミみたいに美しくなりたい」と言う言葉に大槻
ケンヂが10年以上の歳月をかけて、自分なりに残した肯定的な
回答がこの本には記されている!
これほど感情移入できる小説は多分、私の中でもう現れないでしょう。だって感情移入というか今、自分がクラスの中でいる位置、そして好きな女子との関係がグミ・チョコなんだもん!踏み切りでの賢三と美甘子の会話は「あっ、俺も多分こうなっちゃうなぁ・・・」としみじみ共感して、少し泣きそうになりました。
悩み、苦悶し、それでも生きて行かざるを得ないと悟ったオーケンの心情を見事に唄いきった名作! “モンブランケーキ”では、コーラスに穴井夕子、ナレーションに菅野美穂の豪華キャスト! “猫のリンナ”は元詞からはうって変わったポジティブでのほほんとした感銘! “お世話になりました”は意外や井上順のカバー曲だが、オーケンのヴォーカルがドンピシャとハマっていて良い! “あのさぁ”は間違いなくオーケン・ソロのイチバンの名曲! 捨て曲は一切無しのこの一枚!買うべし!聴くべし!!
大槻ケンヂを、筋肉少女帯のヴォーカリストとしてしか 知らない人には、氏の他の活動をざっと知ることの出来る、 ちょっとしたベスト盤といえるでしょう。作家、エッセイスト としての大槻ケンヂから入った人にもお薦めできますが、 これで全部ではないので、気に入ったらいろいろ他のアルバムも 聴いてみて欲しいです。
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