藤堂志津子さんの最新刊です。
「オフィスはうちに、と母誘う」「なぜ別れるの、と母が泣く」「お墓を買おう、と母はしゃぐ」 「孫がほしい、と母の目輝く」「ざまをみろ、と母笑う」「「理想の嫁」に母よろめく」 の全6話で構成された家族小説です。
どのエピソードも身近に起こりそうな事柄で面白く読めました。
娘・沙良(37歳・独身・インテリアコーディネーター) 母・駒子(62歳・未亡人・パート勤務) 七年前に亡くなった父、家を離れて一人暮らししている弟、それぞれの人物描写が丁寧で 脳内映像がくっきりと浮かび上がりました。
家族故の確執は多々あるけれど、それでもやっぱり家族っていいなぁ〜と ほのぼとと幸せな気持ちになれる作品です。
久しぶりに藤堂先生のを読みました。
やっぱり女性にとってのオルゴール的物語だなぁって思います。
少なくとも、平坦だけれど、愛を求める私にとっては、藤堂先生の作品は癒しです。
一作目、人生を客観的に見つめ、足元を見つめ、ハッピーエンドを求めていない女性の物語。
二作目、一作目とは逆に、夢見る女の子が現実の幸せを手に入れるまでのお話。
三作目、これがよかった。
これが「心のこり」って題名でもよかった。
心に残っているしこりを取り除くため、自分が幸せになるために一歩踏み出すお話。
藤堂先生は、どういうつもりかわかりませんが、私は過去の男がとってもイヤな男に見えました。
そしてその家族も…。順平が死んだのにショックを受けてるのは主人公も同じなのに、「兄ちゃんを支えてあげなかった」と罵る妹達。え、えええええっ?この家族、自分たちの事しか考えていない。
過去の男は、弱い男に思えました。逆に今の男は、とってもタフな男。優しさもある。
過去の男と結婚しなくてよかったよ。結婚していたらもれなく口うるさい小姑がついてくる。
今、おだやかな結婚生活を送っている私には、三作目は主人公を応援したくなるような癒し系のお話でした。
8人の女性作家の描く恋愛小説。
恋愛小説を読んでいて思うのが、恋をしている男女の心理描写は様々なかたちで描けても、セックスの描写は良く似ていること。
そして、セックスの描写はどうしても著者の経験が反映してくること。
本書に収められている全ての作品は、男女の恋愛・・・というより、恋や愛、そして不倫をエッセンスに人間関係を描いた作品と言えると思う。
なぜなら男女が恋に落ちて、肉体関係を結ぶという単純なストーリーではないから。
「恋の物語」というほど単純なアンソロジーではないのです。
友達として長年付き合ってきた4人の男女。 それぞれが恋をして、失敗して、もっと大人になって。 いろいろなことを乗り越えた後の穏やかな大人の恋愛の形を見せてくれました。こういう人間的な関係、憧れます。 大人になるといろいろなことを目の当たりにするけど、 それに目をそむけないで「やさしく」歳をとりたいと思いました。
テーマは「リタイヤ」。5つの短編からなる作品集。 どのお話にも共通するのは、主人公が「40代後半〜60歳間近の女性」であること。 この年代の女性ならではの不安や孤独、理想を描いています。
それぞれの価値観の違いで、「パーフェクトな老後」が違ってくるのは理解してるものの、 どのお話の主人公を見ても共感も憧れもできず、 「ほんとうにこれがあなたにとってのパーフェクトなの?」と思わずにはいられませんでした。 誰の選択も正解だとは思えないし、納得できないもどかしさも残るけどいろんな人がいてこその世間だからな。 個人性の面白みは感じます。
定年を迎えたといっても今の60代はまだまだ若い。 定年後の人生に趣味でも見つけてのんびりと暮らすのもいい老後ではあるけれど、まだ何かをはじめるのに遅いという年齢でもない。 守りじゃなく、攻めの姿勢で新しい生き方を模索する中年の方ってそれだけで輝いている。 ただ流されるだけじゃない、後悔しない生き方・・・。 「まだ先のこと」なんて思わずに、少しは真剣に考えてみようかな。
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