解説でも指摘されているように、本作は東野圭吾の某作に対する実作での回答といった体のものだ。 したがって、主役はサトルではなく天馬ルリ子である。 そしてこの天馬ルリ子の造形は、これも解説で指摘されているように、まさしくダークサイド蘭子だ。 そういう意味ではこのラストは当然の流れだといえるだろう。 ただし、人によって評価が極端に分かれる原因のひとつもまた、このラストと、さらには作品全体の何ともいえない熱にある。 そう、本作は妙な熱を帯びているのだ。
さて、私は本作を某作を読む以前と某作を読んだ後の都合二回読んだ。 そして気づいたことは、あの論争で二階堂氏が主張したかった「無償の愛」に対する考えである。 確かに本作のような設定なら、自然な流れであり、理解するのも無理ではない。 ただし無理ではないため、逆に少々安易な設定だと感じられてしまうことが、評価が低い原因のひとつかもしれない。
私は、某作を読む以前に本作を読んだときには、著者にしては情が入りすぎたミステリだと感じた。 しかし、その「情」こそが、著者が実作で主張したかったことだ、というのが、今回改めて読み直して分かった。 だからこその本作の設定であり、それを可能にするための主人公の造形なのだ。 確かに、ダークサイド蘭子でなければいけないし、そしてこの主人公は実に魅力的でもある。 本作が妙な熱を帯びている理由も、おそらくはそこにある。
今後、著者が本作のような熱を帯びたミステリを書くことは、おそらくはないだろう。 そういう意味では、本作は著者としては異色作といって良いのかもしれない。 しかし、こういうミステリを書けるということを実証して見せたことは、著者の今後の創作に何らかの良い影響を及ぼすかもしれない。 それは期待したい。 分からないひとの評価は低くても良い。 本作は熱い作品であり、分かる者にとっては、まちがいなく傑作である。
カーをリスペクトしている作家が カーが何度も取り上げた足跡のない殺人を 彼流に昇華し、洗練させた作品 現在(といっても昭和40年代ですけど)と過去にわたる 足跡のない殺人と妖艶な3姉妹を中心とする 旧家の興亡が事象を怪しく織り成します。 テニスコートの殺人はトリックは良くできているのだが 人間心理に無理があるのが欠点
一、二巻での謎の提出を経て、いよいよ探偵が推理に乗り出す第三作目。もっとも、そのわりにはこの本は緊張感を欠く間延びした展開である。四巻目はスピードとサスペンスが上がってくるので、淡々と読み進めましょう。
トラベルミステリーの要素が入ってか、最近の数作よりは探偵の活躍が認められたが、肝心の東尋坊での殺人がトリック重視に偏った感があり残念で物語をもっと丁寧に描いてほしかった。
しかしこのシリーズの最近の倒叙物よりは面白く、今後に期待したいところ。
小学生のころ読み耽っていた怪盗ルパンのシリーズを思い出しました。
子どものころ夢中になって読んだあの世界が甦ってきました。
子どもむけなので読みやすいし昔を懐かしんで読むのもいいかも。
私が子どもだったら、きっと「やった、犯人が当たった」と
ほくそ笑んでいるでしょう。
他のミステリーランドのシリーズも読んでみたいです。
|