ジョニー・トーに絶賛されたりしょっぱなから海外の映画祭へ出品するなど下馬評が凄かったが劇場で見れずやっとこさ見れた。
これが監督の商業映画初デビューというから驚き、大体下馬評なんか場合によっては全然アテにならないときがあるがこれはアタリ(個人的)といっても過言ではないだろう。
場末のサロン(違法風俗)を舞台に訳ありだらけの男と女が遭遇する殺人事件とその顛末を描いた物語なのだが
まあ主人公がどうゆう奴でどうゆう人間なのかは具体的な説明は断片的にしか無い、というかこれに出てくる登場人物たちも殆どが
そうなのだが余計な説明や理由などを廃するところがまた今時っぽい映画ともいえるだろう。
物語にしても命とりになりかねない偶発的な殺人からのトラブル連鎖というよくある展開だったが個々のキャラたちが見せる
個性とその描写には目を見張るものがある(特に大森南朋のキレ芸や光石研の小市民役ぶりには拍手)。
市井の人間たち(特にチンピラの凄み方や脅し文句)のリアルさや臼多あさみの何処にも行き場が無い鬱屈さを言葉少なさに魅せる演技にも監督の演出力の高さがうかがえる。
まあ欠点と言えば物語の所々が唐突すぎて正直微妙にずれているような齟齬感が生じ色々消化不良にもなりかねない(むしろそれが狙いか?)、
その点で説明描写や回想(いわゆるバックストーリー)のさわりの徹底した削除、封印が少し裏目に出ているような気もする、大衆受けを微妙に突き放すラストもしかり、かなり観るものを選ぶ作品だと思わざるを得ない。
だが決して共感が出来ないとは思わない、この作品のなかに描かれている都会の孤独、理想とかけ離れすぎる人生と思い通りにならなさ過ぎる自分と現実、
どんなに必死にもがいても行き止まりは行き止まりの現状、自分の中の一番大切な物まで捨てないと生きれない人生の不条理など全ては大げさでもなく芝居じみてもなく等身大のストレートな苦悩だ。
大森が劇中で叫ぶ「意地を売るほど俺はイモじゃねぇっ!!」はまさに利口になれない不器用な人間のむき出しの独白といえるだろう。
監督自身が「先が全く見えない時に舞い込んだチャンスだった」と懐述しているのもそんな苦悩や葛藤から生み出された掛け値なしの台詞に違いない。
そう考えると放り投げられるようなラストもまた答えの見つからない現代に比例した顛末なのかと思う。
結論。これはオススメです。覗き穴の向こうの淫靡な世界、匂い立つような女の白い首元、嘘、予知夢、昼と夜の対比。謎めいた女優とうだつのあがらない探偵の一見何の変哲もない昼の交わりは肉体の交わり以上に危険な関係であると言える。二人が幾度となく「食べる」行為をするのはその象徴でもある。本当の名前など、どうでも良い。愛する相手に認識されたい。ただそれだけのこと。そもそも夜の女は本当に存在していたのだろうか。男の幻想、あるいは欲望の中にのみ息づいていたのかも知れない。それにしても何故だか心を捉えて放さない作品である。小林賢太郎(拍手)、小雪が適役。椎名林檎の音楽センスに改めて脱帽。
誕生から現在まで。
達也さんの幼少の写真やブランキー以前のバンド歴も網羅。
インタビュー・油絵・イラストと貴重なモノも掲載。
満足の一冊です。
達也さん、素敵すぎです。
大森一家格好良すぎます。
一人一人の人生が詰まったインタビューになっています。
私はドラマ版「アンフェア」のファンでしたが、SP1で雲行きが怪しくなり、
それに続く「劇場版1(the movie)」の あまり変さに落胆した人間です。
本作の直前に北乃きい主演の「ダブルミーニング 二重定義」が放送されましたが、
ほとんど本編に絡まない内容であったため、地デジ録画だけで済ませました。
この最終作「アンフェア the answer」はネット上での酷評がすさまじかったので
まったく期待せずに劇場へと足を運びましたが、単にドラマのイメージと異なって
いるというだけの話で、劇場版1より遥かに完成度の高い仕上がりとなっていました。
また香川照之さんも少ない出番ながら、非常に重要なシーンを熱演されていますし、
監督の佐藤嗣麻子さんによる女性視点でのストーリー描写が目立つ作品です。
プロテクトドングルの謎を打破する香川照之氏のIT技術力が神レベルだったり、
予告編インパクト画用に殺される無関係な女性がいたりと違和感もある作品ですが、
そういった欠点を補って余りあるほど、最後に悪党をギャフンと言わせた後、
「○○、馬鹿かお前は…」と吐き捨て→夫婦の絆を見せ→テーマ曲→タイトル→
怒涛の伏線回収しまくり映像群→中島美嘉「Love is Ecstasy」で決めるという
素晴らしい演出が最高に格好良く、有終の美を飾っていると思います。
映画「シックスセンス」のように、1回目より2回目の方が楽しめる映画であり、
実際の国家機密が入ったUSBメモリの行方を考えるだけで面白い傑作邦画です。
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