ただのひよっこデュアンが勇者になる過程なので、シリアスでなかればいけないのでしょうが、第2部に入ってから話し自体が暗くなった感じがします。
でも、やっぱり深沢先生、暗いつつも飽きさせず、気になる終わり方になっております。 早く元気で明るいデュアンが読みたいですね。 その分フォーチュンが明るいので、問題ないでしょうが。(笑)
デュアン単体で見た場合そうでもないのですが もう一つの代表作であるフォーチュンクエストの方も共に「敵の姿が見えない」という大きな点で似通っていて、なんとなくもったい無さを感じます。 どちらも、敵の黒幕が現時点で読者にわかる形で明確な人格がなく主人公側が常に受動的、対処的に動いています。 両作品とも数年間この状態が続いていて、正直だれてきてしまいました。
深沢 美潮さんがそういう作風だと割り切ってしまえば良いのでしょうが、折角なんだから全然違うアプローチをして欲しかった
ルルフェの救助は成功するとして王子がルルフェに一目惚れする可能性があるかも、そしてデュアンの出生の謎を判るかもです。もう後僅かでしょうが気になる展開です。
「導くもの、導かざるもの<中>」で13巻が最終巻だと匂わせるような文章やフレーズが
書かれていたので13巻の発売をずっと待っていました。
そうしたら近々発売するという事が分かったので早速こちらで購入しました。
タイトルの嬉しい誤算の理由は最後にて。
今作を読んだ感想ですが、前回が最終巻への準備段階ならば、今作は行動に移し始めた段階、
という感じでしょうか。今作の方が話もキャラクターもよく動いていました。
懐かしいキャラクターも登場するので、第一期からのファンとしては嬉しい限りですね。
相変わらず重苦しい空気が流れる場面はあるものの、メインキャラクターとサブキャラクターの
描写も前回よりバランス良く書かれている上に、全体的にキャラクターが明るくなっていたりして、
前回よりもサラリと読めたように思います。
ただ、バランス良くキャラクターを追うあまり、描写される場面も割と頻繁に変わるので、
少々詰め込み過ぎという印象も受けました。
それでも、個人的には前回よりも変化があって良かったと思いましたけどね。
因みにズーニョは今作も名前のみの登場となります。
あと、戸部氏の絵も若干キャラクターの描き方が変わった気がしました。特に男性陣。
嬉しい誤算について。
それは前回で濃厚だった13巻最終章説を筆者の深沢氏自身が覆した事です。
今作を読んでいて話の進み方が遅い気がして変だなとは思ったのですが、後書きで深沢氏が
ハッキリとクライマックスは持ち越しだと書いているのを見て、驚いたと同時に「なるほど」と
納得しました。
今作が最終巻だと思って購入したので最初こそは肩透かしを喰らった気分でしたが、書きたい事が
まだまだあるんだという想い、そして中途半端なラストにしたくないという気持ちが後書きから
伝わってきたので、そういった深沢氏の姿勢はとても好感が持てました。
やはり一ファンとしては好きなシリーズが終わってしまうのは寂しい事。
そういう意味もあり、私にとってクライマックス持ち越しは嬉しい誤算という訳なのでした。
今作は若干急ぎ足な部分もありますが、12巻のメインキャラクターの描写の少なさにガッカリした方
にとって13巻はその不足分を補うのに丁度良いと思いますので、そういう方はこの13巻をお手に
取ってみては如何でしょうか。
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