ネット上殺人推理ゲームの第三弾。今回は、推理の内容を動画で公開して新たな参加者を募ったり、予告つきで殺人を生中継したりと斬新な発想も加わり楽しめた。
ただ、前作のようなあっと驚くような推理や事件を解決していくヒントが少なかったりと前作に比べると今ひとつだった。
本シリーズは回を重ねるごとに斬新な発想が出てくるので、次回作も期待したい。
事件の謎解きよりも、設定にしてやられた感がある。
最後の三章で、登場人物たちの印象が、本当にがらりと変ってしまったからだ。
現在と過去など、複数の筋が同時に進行しているが、読みやすい文章でテンポもよく、さくさくと読み進めることができる。
最初は無関係に見えていたものが、きちんと寄りあわされており、無駄な伏線は一つもない。
無駄はないんであるが、そのあたりに作者の筆力も感じるし、賞を取っているのもわかるんだけど。わかるんだけど、なんか悔しい。
最後まで苦手だった主人公がこれなら納得だと思えたものの、それまで積み上げたイメージががらがらと崩れたことが、やっぱり悔しい。
私に偏見があると指摘されているみたいで悔しいのかもしれない。
ネタばれしては面白くなくなってしまうので、ここで止めておく。タイトルは素敵なんだけどなぁ。
ミステリに出てくる人の命は 所詮、トリックを盛り上げる素材でしかない …ということは、みんな心の中で分かっているけれど 余り表立って言えないことだと思います。
だから、命に少しでも重みをつける為に ミステリ作家は、「殺される側にも理由があった」とか 或いは「殺人者の非道ぶりを糾弾する物語」にして 「あくまで人殺しは悪!」という建前を貫こうとするわけですが、 この話は、真っ向からその建前を覆しています。
つまり、人の命はあくまでトリックを暴く為の 素材であるという本音の元に描かれているわけです。
Webに登場する5人の人物は、みな、 「トリックを暴くゲームをしたい」という理由のみで 次から次へと人殺しをし、どのように殺したのかを クイズ番組の正解を予想するがごとく、皆で推理していきます。
もし自分の関係者がそんな理由で殺されたら? と考えるとぞっとしますが、よく考えると 他のミステリだって、殺人は素材の一つに過ぎないワケで…。
小説、作り話と割り切って読むと、本当に面白い話です。 Web上の5人は、全員凶悪な殺人者ですが、 一方普段の会話はとてもユーモラスで、そのギャップが何とも不思議。 そして後半、主要人物「頭狂人」の正体が分かるシーンは いろんな意味で驚愕!その後怒涛のラストを迎えます。
友達に「面白い」と紹介したい本ですが、 余りに「本音の部分」が強く、微妙に薦め難いのがマイナス1(苦笑)。
「本格ミステリ2010」での第一位に続き、「第10回本格ミステリ大賞」も受賞。 一般的な知名度は「葉桜〜」の方が上なのだろうが、「葉桜〜」で止まっている人にはぜひこのシリーズも読んで欲しい。 できれば(というより是非)シリーズ第一作「王手飛車取り」から。 もともとは三部作構想(と言うより、一本の構想を三分割したらしい)なので、最後の一本もぜひ!
前作の主要登場人物に対して、今作の主要登場人物にあまり好感を抱けなかった。 残虐・身勝手・あくまでクールという要素は同じなのに、悪趣味な面ばかり目に付くのは、やはり前作の登場人物が持ちえていたユーモアが欠けているからだろう。 このへん、作者が意図してそうしたのかどうかは不明。 Q1のミッシングリンクの問題の謎解きはシリーズ随一のできばえだが、その他は合格水準ではあるものの、それほど秀逸なものでもなかった。 三部作ということで完結編に大きな期待を寄せたい。
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