私が破裏拳ポリマーを見たのは、小学生のときで、しかも再放送だったと思います。ポリメットで変身するのにどんなに憧れたことでしょう。小さいころ見たテレビの感動は、大人になって見直してみると、「あれっ?こんなだったっけ?」と思ってしまうことが多いですが、「破裏拳ポリマー」は、大人でも楽しめます。何話目から見ても漫画を読むが如く、しかも面白いです。ヒロイン「テル」のお色気シーンもさりげなく入ってますし。最終回の展開には、みんなしびれること請け合いです。
70年代タツノコプロダクションのアニメは、ガッチャマンやテッカマンやキャシャーンなどあくまでもシリアスで大真面目なSF系作品と、一連のタイムボカンシリーズに代表される徹底おちゃらけギャグ作品に二極分化されると思う。そんな中でこの破裏拳ポリマーは、そのどちらにも片足づつ突っ込んだおマジメおふざけアニメ、という珍しいジャンルにはいるのではないだろうか。
まず悪役が登場する。見た目とネーミングはおふざけ調だが、やっている事はそうとうに悪辣冷酷でとても笑いを取るような内容ではない。その後場面は一転、車探偵事務所での探偵長とタケシ、テル、犬の男爵とのしょーもないかけ合いギャグが延々と続く。このへんの笑いの取り方はかなりコテコテだ。
CMをはさんで本格的に犯罪組織が暗躍を始めると、あのおマヌケなタケシと本当に同一人物かと目を疑うほど颯爽とかっこいいポリマーが空を切り裂く姿も鮮やかにいきなりな感じで登場し、敵の軍団をあきれるほどの強さで倒しまくってゆく。このあたりは全くもうタツノコプロお得意分野のシリアスSFアニメ本領発揮なのだが、事件解決後はまたまた車探偵事務所でのかけ合いコントで笑いを取ってエンディングとなるのが、全編通してお決まりのパターン。
笑っていいのか真剣にのめり込んでいいのか非常に困る、甘辛チャンポンな作品でとらえどころがない。それでも、このしょーもないおかしさとポリマーのかっこよさが好きだという人は迷わず買い、だと思う。ポリマーの変身の秘密やタケシの素性の秘密などを含めて、すべてを楽しむ事ができるはず。
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