ドクウツギの有毒成分はアルカロイドではないとおもいます。
あえて言うならテルペン系毒物でしょうか。
六歌仙の暗号以来、高田崇史の作品には圧倒されっぱなしです。 この作家の作品ははっきりいってIQの高い、中学や高校で基礎教育をきちんと修めた人が心底、楽しめるものと断言します。 活字といったら漫画しか読まない、本も読まずにゲームばかりしているような最近の大多数の若者には到底、読みこなせない内容だと思います。 いままで習ってきた常識を覆すような歴史的考察は興味津々で、伊沢元彦の「逆説の日本史」シリーズに通じるものがあります。 そしてその歴史的考察をもとにミステリーを発展させるストリーテリングも素晴らしい。アーサーヘイリーに肩を並べるものです。 このような作品をどんどん執筆できる著者の想像を絶する知識量、うんちく量に完全に脱帽です。
カンナシリーズはQEDと比べると内容が乏しい気がしていたが、今回の坂上田村麻呂についての歴史考察はちょっとびっくりした。こういった考え方も出来るんだ。こちらのほうはなかなか面白く私にとっては意表をつくものであったが、肝心の事件の部分はこのシリーズらしくたいしたトリックも無ければ新しい試みもあまりない。本格推理小説としては物足りないが、さらさらと読めてそこそこ楽しむには良いでしょう。 なおこのシリーズは今回で終了かと思ったらまだ続くようだ。なんだか引き伸ばされているようにも感じる。次回ぐらいで決着をつけ、QEDの新作を読ませていただきたいものだ。
カンナシリーズ第8作目。
いよいよシリーズ終盤になり、クライマックスが近づいてきた感じがする。これまで明かされなかったことが次第に明らかになり、単純に作品としての謎解きにプラスして、シリーズ全体にかかわるより大きな謎も明かされつつ作品としては非常に盛沢山になっている。また、今作は出雲行きに当たっていつもとは違うパーティを組んでいるのも少し新鮮に感じられる。
作品としての出来に文句はないが、裏表紙の内容紹介がちょっと残念な出来になっている。こういうものは見る人の関心を引きつつも、内容のネタバレは避けるのが普通だと思うが、今回は、「残酷な運命」とか「裏切り者」とか正直やりすぎだと思う。
ドクウツギの有毒成分はアルカロイドではないとおもいます。 あえて言うならテルペン系毒物でしょうか。
|