宮台真司の影響をモロに受けたような文体ははっきり言ってふざけているが、同世代として共感できる部分も少なくなかった。出版社は違うが本書の続編にあたる「働きすぎる若者たち」と合わせて読むと、著者の主張が理解できる。
不安定な生き方を余儀なくされた団塊ジュニア世代。「ロストジェネレーション」と呼ばれる彼らが仕事にしか自己表現の場を見出せなくなったとしたら、そこにはどのような結末が待っているのか。それが著者のいう「ワーカーホリック」である。それは単なる「働きすぎ」というのではない。「仕事による趣味の更新」という形で公私の境界を無くしていき、しかも不安定雇用のもとで十分な社会保障も受けられず、明日をも知れぬ危険に身をさらし続ける。いくら「やりたいこと」とは言っても、それはたしかに問題の多い状態といえよう。
私自身も「ロストジェネレーション」にあたり、「やりたいこと志向」の信奉者でもあった。運よく就職できたとはいえ、サラリーマンになる気がなかった私にとっては会社に入ってからの年月のほうが「失われた10年」だった。その経験をふまえて言えば、「好きを仕事にする」というようなことは、ある程度の社会経験と経済的余裕を前提にしてはじめて言える事なのだ。そういうことを社会の大人たちは若者に教える義務がある。それが著者が必要性を訴える「教育」のあり方であろう。
たたき台として問題性を見出しにくい「バイク便」を題材にした点(実際、本書の中でもどこが問題なのかがわかりずらくなっている)、結論の詰めの甘さなど、理論として不十分な点は多い。しかし、このような眼差しを持つことは格差問題の解決に新しい可能性を切り開くことになるのではないだろうか。今後に期待したい。
デザインは最高。遊び心をくすぐる。みやすい。惜しむらくは、ベルト、これだけ太いとしめるのがなかなか大変。パチン止めの方が、ベルトの革がしわしわしなくていいと思う。それ以外はいうことなし。
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