長い間待った「スマイル」ですが、基本的にあの当時にブライアンが出そうと思っていたものなのか?という疑問がずっと付きまといます。答えは「誰にもわからない」というのが正解。ただわからないけれどブライアンが思っていたのはこんな感じだったのではないか???という近似値までは行き着くことが出来そうです。一応今回のスマイルが出るまで、30年以上にわたり断片的な材料が公表されてきました。そのあたりの材料と今回の集大成の料理方法も非常に詳しく分析されています。「すごいなあ」と感心しながら読みました。健太さんの文章は彼なりの切れ味で「オツそう来るか」という論理展開です。
やはり、何といっても、タイトル曲「太陽の女神」に尽きるかもしれません。とにかく気持ち良い曲です。ダンサブルではないのですが、この浮遊感は何なんでしょう。あくまでも音楽的なものですが、これをグルーブ感と呼ばずして何と呼ぶのでしょう? いつまでも聴いていたくなります。終わってしまうのが悲しくなってしまします。こんな曲めったにないですよね。ラムゼイ・ルイスはこの曲だけでフュージョンの殿堂入りです。モーリス・ホワイト率いるEW&Fのベスト・プレイでもあるかもしれません。
フュージョン、ファンク、AOR、ブラコン、R&B、ジャズ、全てを含むアルバムです。全てとは一つ一つが分野が違うことで、だから飽きがきません。若い方に聞いてもらえればうれしいですね。例えば一人で夜のドライブに出て、聞き流すのもいいかも、でも、ある程度すいていて、夜景が綺麗なロケーションは今の節電東京には存在しないかもしれません。ジャズ嫌いの人には、とりあえず半分の歌ものだけ聴いてから全部聴くのもいいでしょう。インストもスタンリークラークだから商業路線で聞きやすいはずです。
私は今回の紙ジャケで購入というかなりの後追い組です。1,5曲目のプロデュースがモーリス・ホワイト、残りがテオ・マセロ!!と ラムゼイ・ルイスの共同プロデュースという事ですが、私は後者のうねる様なリズムの作風の方に惹かれました。1曲目が有名という事ですが、ギターのカッテングで始まり、ストリングス、コーラスと重なる辺りとても印象的です。作者が(M.White/J.Lind)というのが目に留まりネットで検索(苦笑)。ここからは私得意の横道、反則レビューです。悪しからず。 J.Lindと言うのは、ジョン・リンドの事ではないですか!!フィフス・アヴェニュー・バンド、ハウディー・ムーン、ホワイト・ホースと言ったバンドを渡り歩きEW&Fの「ブギー・ワンダーランド」を共作したあの人。本作が74年作だからハウディー・ムーンの頃にはモーリス・ホワイトと係わりがあったのですねえ。妙に感心してしまいました。 かと言って前述のバンドと本作の類似性があるわけでは無く、ジャズ・ファンクがお好きな方へのオススメ作です。うねる様なリズムに乗っかるラムゼイ・ルイスの鍵盤楽器も素晴らしい。
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