世界名作劇場のアニメ時代でも見ていましたが、劇場版も最高です。絵がちょっと変わりましたが、とてもうまくストーリーラインを作っていて、おさえるべきところはおさせて、もちろんハンカチが無くては見られないです。一箇所ではなく、数箇所で必ず涙が出てきます… やはり犬好きでもそうではない人でも、一度は見て欲しい素晴らしいストーリーです。
アニメで育ったので、少し迷いましたが 表紙に違和感を覚えることは無く、まず安心。 ネロもパトラシエも全く異なる絵ですが雰囲気は似ており、 なかなか良いです。 安野光雅さんが描いていらしたのですね。 かなり昔の訳ですが古い印象は(私には)皆無で、 却ってシンプルで真っ当な訳かと。 さすが村岡女史と言いたいです。 正しい日本語の美しさに、改めて優しい気持ちになります。 それであの内容ですから、入り込まないわけがありません。 ごく短い話なので、気分転換にも相応しい一冊に思いました。 「ニューンベルクのストーブ」も良いです。
演奏に関しては、基本、弦楽四重奏(ヴァイオリンが2人と、ヴィオラ、チェロが各一人、そしてピアノ)ですが、一部、リコーダーの音も入っています。
全体的に原曲のイメージを残しつつ、素朴な雰囲気で統一されており、BGMやイージー・リスニングに最適です。
クラシックが好きな方でも、十分に楽しめる内容です。演奏も一流の演奏家によるもので聴きごたえがあります。
印象に残ったものを挙げると、
「よあけのみち」はモーツアルトの曲を思わせるようなアレンジです。(原曲自体がクラシカルなメロディではありますが…)
「ペリーヌものがたり」はなんとなくシューベルトっぽい感じになっています。
「花のささやき」は、そのまんま社交ダンスの曲に使えそうな感じです。
でも、なかでも素晴らしかったのは、なんと言っても「空へ…」です。
弦楽四重奏のむせび泣くような、美しい音色が、あの哀愁を帯びたメロディを奏でると、胸をしめつけられるような感動を覚えて、不覚にも涙があふれてきました。すごい演奏です。ロミオやアルフレドの姿が目に浮かぶようです。
クラシック音楽が好きな方、世界名作劇場の主題歌でイージー・リスニングを聞いてみたい方、癒しの音楽を聞いてみたい方などに、ズバリおススメです!!
これは“後悔”の物語であると、改めてそう思った。ネロを取り巻く人々、特にコゼツ旦那の、償いきれない大きな後悔の物語なのだと。そういう意味では、コゼツこそがもう一人の主人公と言えるかもしれない(他愛ない連想だが、私は「コゼツ」と聞くとどうしても「孤絶」をイメージしてしまう)。
ネロ自身は決して過去を振り返らない。生前のおじいさんを想い、時に涙ぐむことはあっても、常に現実を見つめ、辛い境遇をありのままに受け入れ、健気に“今”を生きて来た。だからこそ、素晴らしいルーベンスの絵の魅力に浸りつつ、天使に導かれ、大好きなパトラッシュと一緒に“空に続く道”を昇ってゆくことができるのだろう。幸せに包まれ、晴ればれとした笑顔で、おじいさんのいる国へゆけるのだろう――。
最後の讃美歌を聴くと、思わず涙があふれて来る。残される者の悲しみも、ネロには届かない。吹雪の中で闇に向かって「ネェロォォォォォ!!」と絶叫するアロアの声も、ネロには聞こえない。それでいいのだ。苦しみもない、思い残すこともない、ネロはこの世のしがらみから完全に解き放たれたのだ。そう思った。
全52話のテレビシリーズを90分に凝縮してあるため、小さなエピソードは当然省かれている。隣家のヌレットおばさんのことや、ネロとジョルジュ・ポール兄弟との出会い、アロアの留学と病気のこと、ネロの牛乳運びの仕事が減らされたこと、ジョルジュの出稼ぎのこと、風車の火事のあとで仕事が全くなくなってしまったことなどは、今回語られていない。しかし、私はさほど“継ぎはぎ”の感じは受けなかった。本放送当時からのファンとしては、完結版ではあっけなさを感じるだろうと思っていたが、観終わってみると、立派に一つの作品として仕上がっている。単なる“総集編”ではない編集の工夫に感心した次第である。
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