1972年発表のセカンド。アメリカという大いなる新大陸の(開拓と征服の)歴史、感情、魂と懐の深さ、そのすべてをたかだか40分弱に凝縮してしまった驚愕のサンプラー集。ここにはアメリカがありアメリカしかない。 アメリカの歴史といえばポップスの歴史であり、エンターテインメントの歴史でもある。つまりすべての「POPなもの」の集合体ともいえる。 ヨーロッパの20世紀を「ボレロ」に凝縮したように、アメリカの20世紀はここに集約される。しかしそこに荘厳さはなく楽しげなリズムしか聴こえてこないのがあの国だ。愛情と才能のみが成し得た20世紀最大の音楽の偉業。
もう終わっていたはずのはっぴいえんどが、ヴァンダイクパークスとアメリカでレコーディングできるならと再び集まった。ほとんど趣味のようなアルバム。すでにソロ活動に入っていた大滝、細野は曲を渋り、多くの曲は鈴木茂のもので出来上がっている。 ラストに入っているさよならあめりかさよならにっぽんの詩は現場で松本隆が思いついた言葉でその場で絶賛を受けたらしい。最後にふさわしい曲が、アルバムの最後に入りはっぴいえんどはすべてをきれいに終える。
メロディーは甘ったるいが、言葉はキツイ。1曲目Vine Streetの作者Randy Newman同様Popな英国系音楽といえますが、音はやはりアメリカンですね。後にBrian Wilsonとのコラボレーションもありますが、Beach Boysファンは気に入るのでは?10CCが好きな人にも良いかも。でも、一番近いのはやっぱりRandyかな?2ndの「Discover America」ではがらっと変わってカリプソですが、1973年には両アルバムとも良く聴きました。歌詞を気にせずにメロディーだけ流しておけば、両方とも良いBGMになりますよ。
祝☆楽隊稼業(そろそろ)40年の御大に捧げる豪華メンバによる「トリビュート」で、各人それぞれ愛に溢れた仕事振り、なのは良いとして、氏の世界に誇る毒気や諧謔や変幻自在のリズムや簡素にして味わい深い詩歌をアンサーソング的に見事にパッケージできた組はどれほどだろう、という視点に立てば、パークス翁は別格として(本当に!)、口ロロ(クチロロ)チームの手癖に堕しないニヤリとさせる『北京ダック』の他に、単なる「カヴァー」を越えた御大に対する尊敬や賞賛を表せている作品はあったかい、と問われれば、さて。星が4ツ、は丁寧な仕事に対して。
けれど、この手のアルバムに丁寧は微妙である。我々リスナが、よりも、捧げられたご本人がどれだけニヤニヤ(苦笑、くらいが最上級の「トリビュート」だと書き手は考えるが)させられたかでそのアルバムの価値が決まるとするなら、愛の度合いがぬるいぞ、とオンガクへの愛ならば誰にも負けない御大は(非公式に)表明したいのではないかしらん。エレクトロニ化された楽曲が目立つが、安直なラヴ感は強く、つまりは愛には体力がいるものである、とするならば、それはお年寄りの匂い。傍若無人な愛こそが「トリビュート」の真骨頂。
さっそくVol.2が企画されていると聞くが、トリビュート主自身に“この次はモアベターよ♪”などと言わせることのないよう、参加予定者の皆さんはその愛の深さを力強く込める術を、慌てて復習しておくように。例え見苦しくとも、原曲を越えていかない「トリビュート」ほどつまらないものはないのです。
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