このディスクで歌を担当するのはソプラノのデュボスとバリトンのカシュマイユの2人なのだが、本当に両人共に「美声」の標本のようで、この声を聴いているだけで十分な気がするほどである。カシュマイユの声は低音から聴くものを包みこむような懐の深さがあり、表情も豊かだ。 それから、デュボス。実を言うと私は個人的にこの人の歌声が大好きで仕方ない。といってもこの歌手は、いわゆる「派手な」歌いぶりをする人では決してない。どちらかといえば声は細く、声量はやや物足りないとも言える。しかし、冷たく澄んだせせらぎを思わせるような透明感は、余人には見出せない稀有なものである。表現は常に繊細で、溢れ出す感情を知的にコントロールしている様は好感が持てる。プーランクの最も知られた歌曲の一つであるあの濃厚なシャンソン「愛の小道」をさえさらりと爽やかに歌いきってしまうところなどは全く圧巻としか言いようがない。もっとこの人の録音したCDがたくさんあればいいのに、と思っているのは私だけであろうか?
かもめ食堂の撮影時、ヘルシンキでの出来事が綴られている作品です。 最後の作品は「めがね」撮影時のようです。
どのお話しも彼女の人となりが表れており同年代の方なら共感できる話題も多く、ポジティブな内容で構成されているので明るい話題を好む方にお勧めしたい作品です。重い作品ばかりで読み疲れていたので、こうした癒される作品があると読書生活にメリハリが付いて良いです。
映画の世界観がとても心地よくて、どうしても原作が読みたくなった。映画では語られない登場人物の背景が、原作で軽く触れられている。景色や心理描写もさらりとしているので、淡々とテンポ良く進む。そしてクスクスとした笑いも。「人間色々かかえてんのよ」「人生すべて修行」そんなテーマが見えるけれど、決して押し付けがましくなくて、読後感がとてもいい。私の大好きな世界観だ。映画を先に観ると、小林聡美、片桐はいり、もたいまさこさんがいかにしっくりくる配役かわかる。もしくはこの三人をイメージして書いたのではないか?とさえ思えてくる。
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