奥村チヨならずとも歌謡曲ファン必殺必聴? のアイテム。タイトル通り『筒美京平を唄う』のであるからどれも良い曲ばかり。冒頭、『何があなたをそうさせた』からエンジン全開の唄いっぷりに誰もがノックアウトされてしまうだろう。もちろん、得意の悩殺ヴォーカルもあるのでご安心を(笑)。
『くれないホテル』では、一語一語丁寧に噛みしめるように情感をこめて唄う。じっくりしみじみ彼女の歌を楽しむのも一興。実に溌剌として弾けている。そんな奥村チヨの歌唱力と歌の素晴らしさに、しばし時を忘れる。よく聴くと彼女は意外にも低音に魅力のある歌手の一人である。
ほとんどがカヴァー曲とはいえ曲調もバラエティに富み聴くものを飽きさせない、まさに「あっ」という間の40分。歌手・奥村チヨの魅力、その要素が全て含まれていると言っても過言ではない、文句なしの、完璧な作品集。
著者の自伝的小説ということですが、
下手な小説より面白い。
相手が「男性」にしろ「素敵なモノ」にしろ
衝動に素直に従う人生。
実際はあれこれ苦労もあったのではと思われ
ある程度歳をとってから借金に負われる生活
も経験しますが、ご本人がうらみつらみを
外に出さない人だからなのでしょうね、
その間が描かれている所も軽やかです。
ご本人が軽やかだからか、その時代が
ある程度成熟していない分風通しがよかったのか
今住んでいるところに縛られることなく
転居したり家を建てたりするところは
今の時代に流れている息ぐるさが
ないように感じます。
歳を取った時代のことまで書かれていますが、
ただの一読者としては、やはり貧乏になったり
衝動的な恋による変動が大きい若い時代
(っていっても50歳ぐらいまでですが)が
読んでいて面白いかな。
歳が行って作家だとかデザイナーとしての
地位が確立してからの時代は
楽しいことは多い感じだけど、刺激的なことは
少ない感じになって面白みが切れてきました。
読み疲れかもしれませんが。
奥村チヨのカヴァー・ポップス集。さすがに洋楽カヴァーも彼女はソツなく、さらりと唄いこなす。どれもがとてもさわやかな印象なのは、メジャー調の曲が多いからか、かえってそれが新鮮。ポピュラーのスタンダード、それも日本語詞のもばかりが収録されているが、それだからこそ彼女の力量が遺憾なく発揮されている。
『愛の賛歌』などは越路吹雪にも引けをとらない堂々たる歌唱を披露、実に見事である。また、間奏の台詞と完璧な歌唱の『雪は降る』は圧巻、ただただ驚くばかり。彼女は数多くいる歌手の中で、本物のプロ中のプロ歌手である。とにかく、『筒美京平を唄う』同様、奥村チヨの素晴らしさをたっぷり堪能できる作品群。
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