カマボコ型をした実用棟っていえば、往年のハリウッド映画「頭上の敵機」に登場したアメリカ軍B−17爆撃隊駐屯基地が思い浮かびます。管制塔type-Bと一緒に並べればなおさらに雰囲気が出ますね。モーボはモーボで「ベストガイ」の情景作りに使えそうかなぁ?(…笑)組立ても思ったより簡単ですし、多彩なモデル展示が楽しめそうです。
守屋元次官の「交渉秘録」もあわせて読むと、バランス感覚をもって人間関係などの背景も含めて、普天間問題への理解を深めることができます。
それにしても、本としてはちょっと。
書き散らし感がつよい。研究資料としてはいいのでしょうが、一般の日本人が読むものとしては情報が細かすぎてついていけないところが多々あります。
(と、一般日本人のわたしは感じました・・・)
これは出版社側の責任もあるのでしょうが、著者がどういう意図やどういった人たちをターゲットにこの本を世に出したのか、詰めきれていない感じがしました。
日本の安全保障のために沖縄がおおきな負担を背負ってきた歴史について、すべての日本人が当事者意識を持たなければなりません。
しかし、学者のエゴ?で500ページ以上もコマゴマと書かれては、理解する気も失せてしまうのでは。 文章も読みにくいです。
この分野では第一人者である立場のかたであるだけに、より多くの人に読んでもらう工夫がもう少しほしいと感じました。
「タロ、ジロ」の物語は、邦画でも洋画でも映画化されたり、東京タワーの下の銅像があったり、多くの人が知るストーリーです。
本作は今まで刊行された本を再編集したものですが、実際に体験した隊員による手記なので非常にリアルで感動があります。
犬たちとの南極で過ごした日々、置き去りにせざるおえなかった経緯、そして奇蹟の再会。
高倉健演じる映画では、人間目指した嬉しそうに走ってくる二匹の犬に健さんが「タロ!ジロ!!」と呼びかけますが、実際には基地にいた二匹は人間を警戒し、近寄ると後ずさりをし、一見ではどの犬か分からないほどに変わっていました。
再会による感無量で「人間への恨みで噛み殺されても良い」という思いで犬に近づく作者。自分の名前を呼ばれた時の犬の反応。
演出された内容ではないだけに映画を超える感動があります。
後日談として、平年より温かい年に基地の周りの雪が溶けて、もう一匹、リキと思われる遺体が基地付近から発見されたと述べられています。
途中まで三匹で頑張っていたのですね…。
二匹がどのようにして生き残ってのか、作者の予想も書かれていますが、実際のところは分かりませんし、仲間が死んでいくのどのように感じたのかも分かりません。(さぞ辛かったことでしょう…)
「タロジロ物語」を後世へ伝えるためにも一家に一冊あってもよい本でしょう。
一から国を作ろうとしている男達の、 率直な反省と希望に満ちた展望を読み取ろう。 今となっては絶滅したとも思われる 清清しいまじめさに満ちた本。
今年公開された邦画の中で私的ベスト10に入ること間違いなしの「南極料理人」。映画を観て原作を読みたくなることは滅多にないが、この映画は別。
映画の脚本とは同じところもあるが、違うところが多い。まず著者である「料理人」はドーム基地で越冬する前に昭和基地で越冬生活を経験している。その経験に基づいた食料調達、そしてドーム基地への単調だが過酷な移動の様子も本書の一部。
メインになる本書で紹介されたドーム基地での生活のエピソードは、映画に採用されたものもあれば、そうでないもの、また映画だけに登場するものもある(著者の他の本からもピックアップした話もある)。でも、ドーム基地という周囲と隔絶された極限の場所での、男だけの集団ならではの、色々試練はあっても最後は宴会で終わってしまう生活の楽しそうな様子。そして生きていくためには食べなければならない人間の生存・食欲を支えるおいしそうな料理の数々。その大枠に映画との違いはない。「料理人」の感情や場を取り繕う苦労は、映画の淡々とした調子よりも、生々しく、しかし絶妙なユーモアの衣をかぶせてより克明に描かれている。私が越冬隊員になるのは精神的・体力的にとても無理だが、その越冬隊員としての使命を果たす男たち(一人疑問符がつくが)の生活の何と面白いことか。私にはドーム基地は選ばれた男たちの楽園に思える。そして本書を読めばお腹がすくことは間違いない。
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