著者の山田玲司さんは
『Bバージン』や『ゼブラーマン』などを描いた漫画家です。
著者が漫画のインタビュー取材を続けていく中で確信した
「何を話すか」ではなく「何を聞くか」(p5)
ということに重点をおいた本です。
相手に気持ちよく話をしてもらう質問、
相手の本音を引き出す質問、
それが「キラークエスチョン」です。
代表的な26のキラークエスチョンを中心にどのように質問をし、
話を広げていくべきかを解説しています。
(例えば「これは、読んでおけ、と言える本を教えてください」など)
合間にいくつかある会話に関してのコラムもなかなか興味深く、
コラムの中で触れている会話の基本・応用について
もっと体系的にまとめて出版されれば読んでみたいと思えるものでした。
キラークエスチョン1つにつき1ページ使ったりしているので、
文章の量、ページ数はとても少ないです。
ですが、
あっさり読める割に内容は詰まっている印象でした。
もっと詳しく、
もっと分量があれば良かったかなとは思いますが、
個人的には好きな本でした。
うまく使いこなせるかはわかりませんが、
少しずつでも実践していきたいです。
ちょっと残念な1冊かなあ。
漫画付きの小説を新書で展開するという新しい手法。本書の著者の山田玲司先生は、自分が学生時代一番好きだった漫画の「Bバージン」の作者。期待を持ち過ぎたのかもしれないが、思いっきり肩透かしにあった気分。
資本主義社会を否定したい、という意気込みは伝わってくるけれども、資本主義社会をまじめに理解しようという気持ちが全くないことも同時に伝わってきてしまう。特に、「成長」が諸悪の根源という決めつけや、資本主義社会は「悪い金持ち」の貪欲さと陰謀によって成り立っているかのような戯画化された描写は、いわゆる典型的な中2病なのではないでしょうか。
そもそも、資本主義の理念は、事業から生じた利益を、浪費するのでも貯め込むのでもなく、ストイックに再投資に回す、この行動様式に支えられています。本書の主人公、漫画家「山賀怜介」は、節税の名のもと、稼いだ金をただ浪費してるだけ。これは資本主義社会以前の行動様式ですよ。また、浪費と惰性での仕事しかしていないのに、「自分が満たされないのは社会のせいだ」と思うのは、大人の発想ではないですね。稼いだお金は、次の作品のために惜しみなく注がれるべきでしょう。
とはいえ、まあ「Bバージン」の面白さは、主人公の煮え切らなさやもどかしさ、鬱屈感、自意識過剰にありました。20年の時を経ても、ほぼ変わらず本書で再現されている点は、懐かしく感じられました。
掲載誌であった『週刊ヤングサンデー』廃刊に伴い、今回で最終巻となった本書であるが最後の締め括りに相応しく、多くのゲストを収録し、まさにゴージャスなる最後の晩餐に相応しい内容となっている。
・ 「『諦める』っていうのは… 『努力しない』ということではないんです……」
「それでも人間社会の中で精一杯努力することは、凄く大事なことだと思うんです……」――宗教やネット消費者問題に取り組む人権派弁護士・紀藤正樹
・ 「悪口を言ってると、幸せにはなれませんからね。そこにエネルギーを使うなら、夢を叶えるためのエネルギーに使ったほうがいいです」――格闘界のプロフェッサー・須藤元気(格闘家)
・ 「人生をどういう役割で演じてもいい…、本当の自分ってひとつだけじゃないと思いますよ」――黎明期の家庭用ゲーム機にRPG革命をもたらした男・堀井雄二(ゲームプランナー)
・ 「我々は生涯を通じて、底知れぬ様々な深淵を渡っているのだという意識を僕は持っています。(中略)。しかし、それを乗り越える度に我々は…大きくなっていくのです…」――高い芸術性とユーモアにあふれた幻想的な舞台で世界中の観客を虜にするフランスが生んだ舞台の魔術師・フィリップ・ジャンティ(舞台芸術家)
・ 「考えてもどうにもなんないのが人生だからね。悪い時は悪いんだから。後は良くなるに決まってるんだよ。時計は動いてるんだから」
「僕がいくら努力しても関取にはなれないわけです。でも、その時の自分でできる範囲のことで、楽しいことってあるわけですよ。楽しいことはうまくいくんです」――占星術の第一人者・ルネ・ヴァン・ダール・ワタナベ(日本占術協会副会長)
・ 「行動すれば何かを変えることはできるんですよ。ムリだと思うのは変えた経験がないからだと思うんですよ。」――不死身の愛国ジャンヌ・ダルク・雨宮処凛(活動家・作家)
・ 「まっ赤に燃えて、まっ白な灰しか残らないっていう……。そういう生き方をしたいって思ったんです。そういう生き方しかできないでしょう。何をやってもダメだったんだから」――漫画の太陽・ちばてつや(漫画家)
・ 「自分がここにいるっていうことを…認めてほしいのかな…って… 自分が何者かであるかっていうことを…人の反応を知りたいんです」――超人気者の孤高の哲学的芸人・太田光(タレント)
最終回で5年に及ぶ連載の中で“絶薬”とは “希望”とはとの問いを探し求めて長い旅を続けてきた著者が導き出した結論は象徴的でした。
そして最後に読者に伝えたかった著者のメッセージが、長年愛読していた自分の心に深く響きました。
前作の掲載紙による廃刊から惜しくも完結となった本作が、掲載紙を移行して新たに再開した事は前作を愛読していた自分にとっても待望の作品である。
・ 「全ての一瞬が宝物で未来をつくるものだから“貪欲”であれ!」――オタク的世界と現実世界をつなげた革命的アイドル・中川翔子(歌手・マルチタレント) ・ 「人生は不純に生きないといかんね」――日本最大のエロ不死鳥であるSM界の巨星・団鬼六(作家) ・ 「恥かけ、汗かけ、涙しろ!」――不死鳥のエンターテイナー・ルー大柴(タレント) ・ 「私の人生は変身 変身 変心です。『心の変身』です!!」――炎の男!生ける侍!・藤岡弘、(俳優) ・ 「心の病は体で治せ!体の病は心で治せ!」――生ける伝説のナパーム野郎・電撃ネットワーク(過激パフォーマンス集団) ・ 「『才能』っていうのは…親が心配するようなことにあるかもしれない」――映画字幕に生きる伝説女帝・戸田奈津子(映画字幕翻訳者) ・ 「いいオヤジ見つけたら友達になってねフォースをもらう。これが俺の“オヤジ狩り”っつってね」――たけし軍団の叩き上げ!・玉袋筋太郎(お笑い芸人)
『絶望に効くクスリ』が完結してからこの度新作として復活したのは嬉しいですが、正直その内容にはがっかりしました。
掲載紙が写真週刊誌『FLASH』の2頁で毎回連載しているのは存じていましたが、単行本化にあたりコマわりを拡大させながら頁を水増ししているような、いわば、以前のような密度のある濃い作品ではないスカスカの内容のように思われました(コマワリの間にも余白がたくさんあるし…)。
山田玲司先生もお忙しいのは分かりますが、仮にも作中で漫画の神様・手塚治虫氏を敬愛し、崇拝している方がこのような形で編集した単行本を刊行するのはいかがなものかと思われます。
手塚先生は自作が単行本化される度に作品のクオリティーを尊重するために加筆修正をされていたと聞きますが、山田先生もそういうところを見習って単行本にするにあたっては旧誌で連載していたころの10頁ないし、20頁に戻して加筆修正した内容を世に送り出してこそ初めて手塚先生を敬愛しているといえるのではないでしょうか(この分野の先輩である小林よしのり氏も連載の傍ら、書き下ろしの作品も発表されているワケですし)。
少なくとも読者が見たいのはそういうところだと思います。
学校教育の批判で「協調」という名のもとに「同調」が行われている。
という箇所が印象に残っています。
僕がエラソーに言うことではないですが、
ミルクをこぼした赤ちゃんを怒るのは、意味のないふとんたたきと同じストレス解消なのかもしれません。
お父さんがみそしるをこぼしても怒りませんよね。それは大人だから次から気をつけるだろうし、何度も繰り返しはしないと思うから。
赤ちゃんがミルクをこぼすとママに怒られるから、こぼさないように気をつける。
このあたりの問題性を問うているんだと思いました。
非属へのテーゼではなく、所属へのアンチテーゼとして価値のある一冊なのかもしれません。
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