本国ドイツで2003年に公開され、600万人を超える観客を動員した映画の原作本。主人公アレクサンダー・ケルナーの父が単独で西ドイツに亡命して以来、母クリスティアーネはその反動で東ドイツ社会主義の模範生となっていた。1989年反社会主義デモに参加した息子(21歳)を見て、母は心臓発作を起こし、彼女が8ヶ月の昏睡状態から覚めたとき、すでにベルリンの壁は崩壊していた。「今度ショックを与えたら命取りになる」という医者の言葉を聞き、アレクサンダーは母を退院させ、自宅を「この国に残された社会主義の最後の砦」に変え、姉アリアネ一家・恋人ララ(ロシア人)・友人デニス(西ドイツ人)たちと共に、母を社会の激動から隔離するための無謀な試みに苦心する。彼らの努力を通じて、逆説的に東ドイツ市民の日常生活の細部にわたる資本主義の急激な浸透があぶり出される。また、恋愛や友人関係を通じて、下からの国境の溶解も表現されている。ベルリンの壁の崩壊から西ドイツによる東ドイツ併合に至る1年を舞台に、家族の絆と友情を描いた感動作。予備知識なしでも読める。
映画『グッバイ・レーニン』成功の功績の半分は このヤン・ティルセンの紡ぎだした音楽によるものではないか? と思わせてくれるゴキゲンなサントラ。 少しもドイツ(しかも東!)らしくない 軽快なリズムと弾んだメロディーは 意外にも急速に資本主義化していく東ベルリンに ぴったりとマッチし、はまっていた。 時に見せる欧風の憂いを含んだ旋律は 変わりゆく街並みへのノスタルジーだ。 映画館を出た後、思わず口ずさんでしまう、 魔力に満ちたサントラであることは間違いない!
見応えありすぎて、疲れました。それだけ素晴らしい映画でした。 東北大震災後にこの映画を見た。地震では1.5万人の方が亡くなったそうである。(現時点で) この戦争ではおよそ7万5千人という死者を出した。 地震は天災であってしょうがないが、戦争は天災ではない。 人間がもたらした数々の罪にへこんだ。女性がレイプされて殺されたり、何もしていない子供が殺されたり、戦争を長期化させて軍事産業で利益を獲得したりする先進国の狡猾さ、等々。 特典映像のインタビューによると、これでもかなり、映像的に残酷さを緩和させたそうだ。じゃあ、実際はもっとひどいということになるのだが・・・。 なんか、へこみました。それだけ、メッセージ性の強い、考えさせるような素晴らしい映画でした。
当時 ベルリンの壁崩壊、冷戦の集結とヨーロッパにおける社会主義の崩壊は日本人である自分達には対岸の火事のように映っていたのかめしれない。 この映画で多くのレビュラーが触れてくれているように悪人がいない。それがいい。母親に取って旧態依然の東ドイツは臨終の時、息子によって真のユートピアになった。終盤、ベッドで嬉しそうにビデオを見せる息子の顔をじっと眺めてた母親の表情が全てを物語ってる。彼女に取って一番誇らしいのは、レーニンでもスターリンでも社会主義でもなく息子の笑顔だったはず。 社会的な事を掘り下げると考えさせられる点も多いのだろうが、幸せを分けてもらえる映画だ。 過剰な演出がないのがいい。あまり見る事の少ないドイツ映画ですがハズレがないような気がします。 ぜひオススメです。
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