楡周平 『衆愚の時代』 直筆サイン色紙
宿命 1969-2010 -ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京- [DVD] |
放映が始まってしばらくは、ああまたテレ朝臭ぷんぷんのベタな展開・説明的演出で、
しかもかなり昼メロチックな古典ドラマだなあ・・なんて少々馬鹿にしながら 見ていたのですが、回を重ねるごとにだんだんと引き付けられ、気づけば最終回まで欠かさず 見ていました。政略結婚とか忌まわしい血縁とか、はたまた昭和の学生運動とか、 およそトレンディでない、アナクロともいえる題材、脚本なのに倦むことなく楽しめました。 ”けれんと虚構の香りぷんぷんの演劇チックなある種重苦しくうざったいノリも開き直って徹底すると、 昨今もてはやされる”軽妙なリアリティ”にもじゅうぶん対抗できるのだということを強く感じた怪作でした。 トーク番組で「役になりきるためには平気で歯だって抜いちゃう」とも語っていた、主演の北村一輝は、 狂気を湛えた表情で実にいい演技してました! |
衆愚の時代 (新潮新書) |
TVニュースや売れっ子コメンテーターのコメントを聴き違和感を持つことは日常よくある事である。
本書はこうした「エセ正論」に対し著者の本音で間違い(矛盾)を提示し問題提起している。 例えば、年末の派遣村の報道をみて派遣社員に対する雇用の確保の必要性を訴えていたマスコミに対して強い違和感を訴えている。 当時「派遣切りは当然だろう」という論調は皆無であった記憶があるが、著者は「何故派遣切りが起きるか」などを丁寧に説明したうえで派遣切りの正当性を説明している。 また、「弱者の視点」と言えば受け手が思考停止になる空気に対する誤りを指摘。 その感覚は非常に真っ当だ。 こうした一般的に正論とされている意見に対する反論は、極めてエネルギーを要することだと思う(放っておけばいいのに…)。 しかし、敢えて反論されるのを覚悟で自己の思いを一冊にした著者には共感するところが多かった。 ただ、欠点は各テーマに対するデータなどが皆無であったため、(真面目な)読者には「検証できないだろう」と突っ込まれる点である。 常識的な視点を持ったおじさんと居酒屋で語った感じの一冊であった。 |
再生巨流 (新潮文庫) |
ビジネス書を読めば仕事を行う上での技術的なノウハウを学習できます。しかし企画を成就させるにはノウハウだけでは足りないのが現実だと思います。成し遂げるためにひたむきに突き進む熱意。それが何より必要なことだと思います。
そのような心の持ちようまで含めて学ぶことが出来る本だと感じました。 |
マリア・プロジェクト (角川文庫) |
医療系の犯罪小説ってことで、ロビン・クックのアジアバージョンって雰囲気でした。
日本の産婦人科医での秘密の堕胎。 大手製薬会社のシンクタンクで行われる臓器移植。 そしてマニラのスラムで子供が行方不明に。 この三つの出来事がひとつに絡まりあって、大きな犯罪が行われる。 それに気づいたマニラ駐在員の青年がある目的のためにシンクタンクに潜入し、銃撃戦を繰り広げて…というストーリーです。 タイトルになっているマリア・プロジェクトというのは堕胎児から取り出した卵子を使用できるように成熟させるというプランなんだけど、まあこれはあるようなないような話だった。 もしこれだけなら倫理的に見て問題とされるかは疑問。 だけど余った受精卵をそのまま出産させて、っていうあたりからどんどん血生臭くなります。 移植の方法が医学書丸写し状態で書いてあるのに比べ、卵子を培養してっていうあたりは参考書がなかったらしくいい加減でした。 だったら移植のほうもオープニングの堕胎のシーンのように心理的に書けばいいのに。 あとプロ同士の銃撃戦で、素人ふたりが生き残っているのがフィクションだなぁと思った。 それでも中国をはじめとする経済後進国で行われているという噂の臓器売買をテーマに、倫理についても考えさせる小説だったと思う。 |
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