ありす イン サイバーランド
アドベンチャー・ゲームとしての評価ということでは星3つ、というくらいが妥当な線かもしれません。しかしその「来るべきネット空間」のお話自体を味わいつつプレイしてゆければ星4つ、ドラマCDなどのサイドストーリーを聴いて再プレイすれば星5つの味わいがあります。
3人の女子中学生が近未来のインターネット空間(ここではサイバーランド)を、意識を乗せた「ネット・ダイバー」として動き回り、巨大ドラゴンと化したウイルスや悪者ネット・ダイバーを退治するお話。
千葉麗子さんが参画していたり、メディアミックスされていたことで、当時流行のギャルゲー視するのも間違いではありませんが、1990年代半ばにこれほど今日のネット社会を具現化していたスタッフたちに驚かされます。昨今のオンラインRPGを見たとき「これ!ありすイン・サイバーランドのネットダイバーじゃん!」と膝を叩いたこともありました。
ドラマCDではサイバーランドとそこで生きる人々との関りや、ありす達3人の過去の話などが掘り下げられていてネット社会の弊害と、自由だからこそ大切にしたいネット空間の素晴らしさが語られていて今日見据えていたかのようなお話です。だからこそ、ありすの言う「サイバーランド(インターネット)は私達のすてきな遊び場」という言葉にキュンときます。
世の中に新しい世界が開ける以前に、その世界を予見しドラマを考え作品にする・・・、ジュール・ヴェルヌが書いたSF小説や手塚治虫が描いた「アトム大使」等の漫画が、ここではゲームという今日のメディアを得て作品となり得た・・・、と書いたら大げさでしょうか。漫画家・キャラクターデザイナーとしても今日考えられる最良の絵師、森山大輔さんの絵が得られたことも幸いでした。
今ではグラムスもなく、ソフトやドラマCDも中古でしか買えませんが是非ソフトとCDドラマ一緒に楽しんでください。