In Casino Out
AT THE DRIVE-INを次作『リレイションシップオブコマンド』一枚のバンドだと思っている方は非常にもったいない!
このアルバムも十分に傑作だ。
キャッチーさでは1歩劣るが、深みのある曲が多く、テンションも相変わらず高い。
爆発物のようにギラギラとした空気を漂わせながら、決して過度に攻撃的になりすぎることはない。
古いロックのスタイルを取りながら、どこか新しいのは彼らが真にエモーショナルな数少ないバンドの証明です。
やってることは大して違わないので、次作が気に入った方はぜひ聴いてください。
Relationship of Command
エモ・コアにカテゴライズされるATDI(At The Drive-In)ですが、なんといっても完成度の高い楽曲が彼らの魅力ですね。
当然すべての曲にエモーションがほとばしっており、(いい意味で)暑いんですけど、そんな曲でも「聴かせる」んです。
「クオリティが高い」と言っちゃうとありきたりなんですけど、とにかく「かっこいいなぁ…」と感じずにはいられないアルバムです。
ロックな曲が多いですけど、M5やM9,M11といった歌い上げるような曲もGOOD!です。
あらためてM4聴きました。…「ど・ど・ど・ど・童貞ちゃうわ!」…確かに聴こえます(笑)。
Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us
何が人間のやる気を起こさせるかについての優れた考察と検証である。著者のピンクは人間のモチベーションを3つに分類している。すなわち、モチベーション1:生存を保障する、モチベーション2:飴と鞭、モチベーション3:内面からわき上がるものである。
成果主義やノルマ、インセンティブボーナスなどお馴染みの手法はすべてモチベーション2に分類される。にんじんをぶら下げて走らされる馬と一緒だ。速度が落ちれば(業績が下がれば)鞭(ペナルティ)が待っている。成果を出せばにんじんがもらえるという訳だ。ピンクによればこれらの手法は短期的には成果が上がる事もあるが長期的にはむしろ業績を低下させるそうだ。成功報酬を提示された時、報酬を獲得することが目的となる。その結果視野を狭めて創造性や独創性が阻害されるのが人間なのだそうだ。そして目標値以上の成果を出そうとしなくなる。一方、目標値の達成が困難な場合は違法な手段や倫理的に問題がある行動を起こしがちである。報酬が目的と化しているので手段は正当化されるという心理だそうだ。
リーマンショックで明らかになった経済原理主義の行き詰まりもこの辺にあるのかもしれない。優秀なはずのMBAホルダー達は四半期ごとに成果を出すこと−そして高い報酬を維持することに汲々とするあまり、違法性の疑わしい取引をしたり数字の操作を繰り返す。報酬も大きいが、成果が出なければ即職を失う彼らは、2〜3四半期以上の長期にわたる視野を失い自らの企業の使命をも見失った。モチベーション2がもはや機能しなくなってきているというピンクの分析は正しい。
一方ピンクが提唱するモチベーション3については、その概念は大いに共感できるものの企業経営の現場でどう具体的に適用するかについては本書ではきわめて観念的な示唆しか提示されていない。モチベーション3が極めて微妙なバランスの上に成り立つものであることはピンク自身も認めている。試行錯誤の段階なのだろう。今後この辺をうまくマネジメントしたどんな企業が現れてくるのか楽しみだ。