インストール コレクターズ・エディション (2枚組) [DVD]
上戸さんと神木龍之介さん2人のシーンがメインですが演技力が圧巻です。上戸さんは肌を見せなくても、唇や目線や声や空気で艶やかなエロティックさを表現していて素晴らしいです。神木さんは子役にありがちな丸っこい印象ではなく、端正かつシャープな顔立ちと利発そのものといった存在感が最高です。
蛇にピアス (集英社文庫)
共感できた登場人物は1人もいなかった。感動する場面など無かった。特に面白いストーリーでもなかった。身体改造などに興味があるわけではないので、本書に書かれていることがどれだけ正しいのかは分からない。
しかし、そんなことはどうでもいいことだ。本書の魅力は文体にあると思う。本書には何箇所か過激な描写があるが、なまなましさはない。突き放したような感じで書かれている。何事にもさほど夢中になれず、自分に関することなのに興味を持てず、自分のことなのに何が起こっているかうまく分からない。そういった感覚をともなった本書の描写は、ある意味、とてつもなくリアルでさえある。
インストール スタンダード・エディション [DVD]
やっぱり「萌え」などと言われてしまう作品になっているんだと思う。上戸彩も神木君もそれぞれむちゃくちゃ可愛い。
主人公の悩みなんかは全てナレーション(上戸彩の語りは悪くなかったと思う)と「ある部屋」での会話にまかせて、演技は上戸彩の女子高生的なカワイさを全面に押し出しているように思えてならない。
かたや神木君も「大人がかわいいと思ってしまう男の子」を見事に演じきっている。主人公のほうはともかく、彼のほうは原作者の綿谷りさが表現していた男の子にすさまじく近い印象を受けた。
別に刺激的な内容でもないが、動物が出てくる映画と似た感じで「ああーかわいいなぁ」なんて気持ちで見られるかもしれない。思春期を過ぎていれば。
蹴りたい背中 (河出文庫)
クラスで孤立している人がどのような形で(意識面、行動面とも)しのいでいるかはそれぞれだろう。本作の主人公・ハツが選んだ(選ばざるを得なかった)その形について、いい悪い、好き嫌いなどを云々せず、ただひたすら彼女の心情に寄り添うことに徹して読んでみれば、たいそう胸の痛くなる小説だった。
そんな学校生活の中で、ハツが興味をもった一人の男子・にな川。彼もまた孤立しているのだが、熱狂的ファンである「オリチャン」が心を占有しているため、孤立の事実にすら無頓着に見える。
そんなにな川に対し、ハツが抱いた名づけがたい感情を、一見子どもじみた、しかしどのようにも受け取れるふくらみをもつ「蹴りたい」という衝動で表現した手際。実際に蹴るシーンの熱っぽくて濃い独特の空気は、なかなかのものと思う。
目に見えて何が変わるでもないラストは、好みが分かれたことだろう。ハツのクラスでの状況がよくなる見通しは全くなく、にな川も同様。二人の間柄も「蹴る―蹴られる」関係のままである。
彼らのそれからが気がかりで、しばらく尾を引いた・・・どんなふうにであれ、登場人物が長く読者の心に居座り続けるというのも、魅力的な小説の要件のひとつではなかろうか。