CM 林静一さんの作品 4つ
毛の生えた拳銃(若松孝二傑作選外伝7) |
こんな映画の題名は聞いたこともありません。俳優さんも全然知らない人だし、裏ジャケットの女優さんもアレだし。きっと、60年代末期に流行った青臭ーい無責任団塊ヤングの勝手な咆哮ばっかりの映画なんでしょう。と、想像してみましたが、TSの中村誠一さんて勿論現役で、フツーのジャズ喫茶でこないだもライブを1.5メートルという至近距離でセクシーに演奏してたあの人なんですね。
それはさておき音盤をオンしたら、イメージ豊かな演奏が聴こえてきたのにはちょっとビックリしました。全て曲名は「毛の生えた拳銃」で、サントラですから「毛の生えた拳銃M-11」というように曲名に記号があるだけなんですね。全部違う曲です。 フリージャズと聞くとまず嫌悪感を持つ私は引いてしまうところですがなぜか即興演奏だろうに(?)聴きやすく、iPODで出勤途上で聴くようになってしまいました。 ドラムは今名古屋にお住まいだという森山威男さん。第一期山下洋輔トリオのメンバーだったそうな…。すみません、全然ジャズ業界に疎いので。 ぜひ、1960年代末期の何かが起きそうな殺伐とした乾いた世界に咲くこのサントラCDを聴いてください。貴方がこの「映画の主人公」になれるかもしれません。 |
若松孝二傑作選(5)アヴァンギャルド&フリー |
「ゆけゆけ二度目の処女」は、その映像表現のみならず、音楽が素晴らしかった。
主演の秋山道男(当時は、秋山未痴汚)が歌うあの歌も入ってる。映画の音そのまま ではなく、別録音された原盤のようであり、映画を観てなくても、アバンギャルド な音楽に浸ることはできる。 こんな珍盤は、もう二度と発売されることはないだろう。 その意味でプレミアム必至。買っておいて損はない。 |
連句アニメーション 冬の日 [DVD] |
まず第一にユーリノルシュテインのアニメが見られる点が嬉しい。ご存知の通り 彼は極端に寡作な作家である。「話の話」の後は ゴーゴリの「外套」を製作しているらしいが それにしても「話の話」自体は20年程度前の作品である。そんな彼の本作でのアニメであるが これは美しい作品である。枯葉や落ち葉を描かせたらユーリの右に出る人はいないだろう。短い作品ながら陶然として見た。これだけでも 本作を観る価値はあると改めて思った。
次に連句とアニメがかように相性が良いことに心地よい興奮を感じた。考えてみると17文字しか使えない俳句が何かをあらわそうとしたら 当然ながら大きな「飛躍」は避けられないというのが 俳句の背負っている宿命である。また 俳句の持つ性格としては ビジュアルに訴えることの重要性がある。「飛躍するビジュアルな表現」と抽象するとこれはアニメではないか。 「古池や 蛙飛び込む 水の音」という芭蕉の俳句を映像化するに際して 実写かアニメかと聞くのも野暮である。 ということで 実に粋なアニメ映画である。これは正真正銘の「事件」であるとすら思うのだ。 安くは無いDVDだが 大丈夫 安いです。 |
赤色エレジー [DVD] |
懐かしの名作劇画の映像化。冒頭、壮年の男性(原作の漫画家であり本作の監督でもある林静一さんらしき姿かたちの人物)が、かつての4畳半を訪れ過去を振り返るというシークエンスから物語は始まる。しかし、林さんご自身は原作を描いていた当時には同棲経験がなかったそうで、また、主人公のように東北が故郷でもないとのこと。林さんも職業アニメーターであったことから、『赤色エレジー』があたかも私劇画であるかのように「誤解」(もっとも林さん自身それを楽しまれているように見えるけれど)されることも多いようだが、この物語は案外クールな視点から描かれているように思う。物語を断ち切るかのような、ラストシーンでの「幸子」の所作―全編新作の絵そして色彩―が本当にすばらしい。 |
赤色エレジー (小学館文庫) |
よく小説で「行間を読む」という言葉を耳にするが、 この作品は「コマ間を読む」と言った感じだろうか。 あの時幸子は本当は何を言いたかったのか、とか、 あの沈黙の間一郎は何を考えていたのか、とか、 そこでは決して明確に描かれることはないのだけれど、 コマとコマの間にうっすらと浮かび上がる、 匂い立つようなリアルが感じられる。 どんな限界状況にあっても手放すことの出来ない 二人のお互いへの愛情の深さに嫉妬すら感じてしまう。 巻末であがた森魚氏この作品の素晴らしさを |
日本の名詩を読みかえす |
「薔薇ノ木ニ/薔薇ノ花サク/ナニゴトノ不思議ナケレド」
この新鮮無垢な詩は荒れ狂った北原白秋の心の海をなだめようとするときに生まれた。 「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふり積む/次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふり積む」 わずか二行からなる「雪」と題する三好達治この詩は、多くの人に愛唱されている。今は失われた美しい日本の原風景。 「汚れつちまつた悲しみに/今日も小雪の降りかかる/汚れつちまつた悲しみに/今日も風さへ吹きすぎる」 中原中也の代表作品、恋愛詩中の絶唱であろうが、「悲しみ」は失恋によるものと狭く受け取ることもない。 「夢はいつもかへつていつた 山の麓のさびしい村に/水引草に風が立ち/草ひばりのうたひやまない/しづまりかへつた午さがりの林道を」 立原道造の「のちのおもひに」と題するソネット形式の詩。青春の痛みをあえかで優しい調べにのせている。 「けふのうちに/とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ/みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ」 「雨ニモマケズ 」の宮沢賢治が、妹トシの臨終を歌った絶唱。 本書には、14人の詩人の54編の名詩が載せられていて、それらの詩を声に出して読むと、いっそう詩情が深く迫ってくるにちかずいない。みずみずしい詩華集として編まれている名詩集(雅) |
逆光の頃 新装版 |
トン子ちゃんに挫折した私ですが・・・こちらはジャケ買い大当たりでした!(トン子ちゃんの人と気づかず購入)
京都の町で育ち、ちょっと軟弱でふらふらしてて、瓦屋根にぴょんと飛び乗り登下校する孝豊くん。 年中行事、町の不思議、美しい杉、気になる友達の女の子、担任の先生、近所のおじさんなどとのふれあいの中で、ピカッと彼の心は光ります。 過敏すぎるリリシズムにはならず、男の子っぽいけどちょっと甘えた感じの主人公と街と人々が、ストーリーをおおらかにし、かつ確実に時は流れています。 黒猫や天狗にどきりとさせられ、杉山の美しさにため息がもれ、黒ベタの夜に和みました。 少年や京都、ちょっとセンチメンタルな漫画が読みたい人、ぜひ手に取ってください。 |
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