キラー・ヴァージンロード フルスロットル版 [DVD]
岸谷監督は、実は優しい人だと僕は感じました。
結婚式前日に間違って人を殺してしまった新婦が死体を隠す旅に出る。
道中を供にすることになった相棒が自殺志願者。
この設定であるのに、何故か登場人物のほぼ全員がハッピーエンドになる。
しかも見ていて温かい気持になる作品に仕上がっているから不思議。
残念な点もある。
作中の時間軸を気にすると、かなりの無茶ぶりである。これが気になると映画に入り込めない。僕が劇場で観たときに気がかりだったのはこの点だった。
しかし、それを忘れて娯楽として割り切ってみていると、冒頭のミュージカルシーンは作品を破綻させない程度の絶妙なバランスで躍動感を楽しめる。
如何にも舞台演出的な味付けは俊逸です。
特に役者さんが活き活きしている。
木村佳乃さんがここまで振り切っているのは驚いた。
相棒で見ていたものは何?と、思わせたのは寺脇康文さん。
監督が寺脇さんのすごさを見せてやる(本人は「これで終わった」と思ったそうであるが)と、豪語していたのも分かります。
更に主演の上野樹里さんが冒頭から歌って踊っての大活躍。
秋も深まる頃の冷たい川で泳ぐなどの体当たりには脱帽です。
フルスロットル版にはメイキングも収録されていますので、これらの内幕も見れる特典付き。
木村&寺脇の両俳優さんのコメントが一致していたのはこの作品が如何に凄かったのかを顕しています。
御両人とも「今まで積み上げてきたものが崩れていく気がする。」そうです。
本編でマイナス要素がありましたが、特典の内容に非常に満足しました。
マイナスは相殺して、元気な気分になれる作品への感謝をこめて5点です。
何度か繰り返して見ると、監督やスタッフの色々な遊びも見えてくるので2回以上見ることをお勧めします。
恋するナポリタン ~世界で一番おいしい愛され方~ スペシャル・エディション [DVD]
タイトルからして気恥ずかしくなる(何とかならなかったのか?)映画だが、ファンタジーxラブ・ストーリーは一定の需要があるし、こういう話を小粋にまとめた作品が増えてこそ邦画の未来は明るいと思う。だから応援したいのはやまやま(北大路欣也はそういった義侠心ゆえの出演では?)。本作もよくある話ではあるが、味覚・嗅覚は「失われた時」の記憶を呼び覚ますものであり、目の付けどころは悪くない。だが、本作については辛口のコメントにならざるを得ない。
まず、槇原佑樹(眞木大輔)のシェフ姿が似合っていない。この映画のキー・ポイントである料理を作る喜び・楽しさが伝わってこない。カタチだけでももう少しシェフらしくしてよかったはずだ。もし借り物の体という意識が風貌を変えることをためらわせたということなら、逡巡する場面があって然るべき。
次に料理自体にどういう創作があるのかが画面を観ただけではわからない。特にタイトルに関係する「ナポリにはないナポリタン」(片岡義男が一冊本を書くぐらいに底の深いテーマ)がうまく活かされていない。
音楽家としての佑樹が作った曲も凡庸すぎる。また、白浜等南紀の場面があるが、何故その土地でなければならないのかわからない。
観るのが時間の無駄とまでは言わないが、工夫の余地が多く目についてしまう作品だ。
きみに届く声 [DVD]
研修医、医療行政に携わる人、命の尊さ、儚さ、人の弱さ、克服しようとする力、いたわり、生きたいと思うこころ、助かってほしいと願う祈り、助けようと思う勇気、強くなりたいという情念そして、敬愛の心を再認識したい人は是非、見てね