子々孫々に語りつぎたい日本の歴史
第一部「今こそ謝罪外交に訣別しよう!」。その題の裏ページには横田早紀江さんの言葉が引用してあり注目しました。そこには「めぐみは必ず取り戻します。そして、日本を凛(りん)とした国にします。私はそれに命を懸けているのです」とありました。
その章で、中條高徳さんは近隣諸国について「・・日本人の歴史に対する不勉強さをよく知っているから、靖国を突いたら日本人がさ迷うだろうという結果までわかってやっている。非常に巧妙ですよ」と語っております。
日本の歴史に触れたいと思っている方に、この夏ぜひともお薦めの一冊です。
この対談箇所だけでも引用しておきたいと思います。
【中條】識者の中の、特に左がかった人は、『憲法があるから平和が保たれてきたし、現在の豊かさを築いてきたんじゃないか』と平気で言っているけど(笑)、この築き上げたものを狙う近隣諸国が攻めてきたら、そういう人に限って声高に『国家は何をしてるんだ』と叫んでくるに違いないんです。
【渡部】日本が平和だったのは、アメリカ軍がいたから。簡単な話です。・・・左翼がごまかしていますが、日本が『平和国家で戦争はしません』と言っているから他の国が遠慮して攻めてこなかったわけではないですよ。攻めてこなかったのはアメリカ軍が駐在しているからであって、日米安保条約があるからです。
【中條】拉致にしたって、デートしていた男女をさらっていくぐらいなんだからね。これ、まだアメリカが強いからコソコソっと連れて行ったけれど、そうでなければ堂々と来てるでしょうよ。
【渡部】・・・それはわかりきったことなのに、絶対わかろうとしないというのは『平和教』というものですよ。本当はわかっているかもしれないけれど、ごまかしている。平和、平和と言っていれば平和が来るなんてことは間違ってもない。
中條高徳さんは、
「渡部先生とのこの対談は、止まるところを知らぬが如くよどみなく続いた。ホテルに一日中立て籠ってのこの対談・・誰憚(はばか)ることなく信念を吐露される渡部先生との対談に心弾まぬはずはない。」とあとがきを書き始めておりました。
日本の歴史をあらためて勉強してみたい。と思っておられる方に目が覚めるような歴史対談である、この一冊をお薦めいたします。
戦争の日本近現代史 (講談社現代新書)
内容は良い。テーマは明確だし、「研究書を水割りしたような本にしない」という著者の目標は、達成されていると思う。問題は文体だ。編集サイドの方針なのかもしれないが、ぎこちない「ですます調」で、皇族言葉風というか、日本昔話風というか、ともかく読みにくい。著者の慣れない様子が伝わってくる。これなら普通に論文調で書いてくれた方がよかった。あと、各章終わりの「参考文献」も趣旨が不明。発展学習のためのブックガイドのようなものかと思いきや、文字通り著者が執筆に当たって参考にした文献を挙げたらしい。でも、「東京大学史料編纂所研究紀要6号」とか「元老院会議筆記後期第18巻」とか並べられても、新書本の平均的読者は戸惑うばかりだ。そもそもアクセスの仕方すら分からない。編集サイドはもう少し考えた方がよかったんじゃないか。繰り返しになるが、内容は良い。
東京時代MAP―大江戸編 (Time trip map-現代地図と歴史地図を重ねた新発想の地図-)
切絵図を元にした江戸時代の地図と現代の地図を、
トレーシングペーパーできっちり重ねて見る事ができる、画期的な地図です。
地図は見やすく、1/5000の縮尺で、町名も細かく、新旧住宅地図、と言った趣き。
素晴らしい発想ですし、切絵図の歪みを調整しながらの作成は大変だった事でしょう。
それだけに、非常に惜しい、改訂して欲しい所があります。
●地図の範囲が狭すぎる。
特に北側。浅草寺までしかありません。上野など、寛永寺すら途中で切れている始末。
笠森稲荷・吉原(新吉原)・護国寺ですらエリア外。
基になったと思われる巻頭の切絵図にはちゃんと入っているのに、何故削ってしまったのでしょう?
おかげで、巻末の面白いコラムの一部が(五色不動等)メインの地図と関わりのない別の読み物のようになってしまっています。
●全体の位置関係が掴みにくい。
1/5000の地図なので、一枚で見渡せる範囲がかなり狭いのですが
巻頭の全体図は簡単すぎる現代図で、殆ど役に立ちません。
もう少し詳しい(江戸時代の)全体図があれば、使い勝手がぐっとよくなりそうです。
できれば四宿(千住、内藤新宿、品川、板橋)くらいまでの位置関係が分かるものを...。
また、既におっしゃっている方もおられますが、ここまで正確な物を作りながら、
まともな索引がないのは非常にもったいない。ぜひ、主な場所だけでも索引をつけて欲しいです。
軍歌メモリアル~明治維新から130年~
このCDは、キングが戦後に録音した軍歌をかき集めたもの。キングの戦後録音は当たり外れの差が激しいのですが、総じて見れば最高とまではいかないものの、優良な軍歌集であることがわかります。特に、個人の歌手によるものよりも、男声合唱団によるものが優れた録音です。また、押し並べて質の低い「~出身者」モノが皆無である点も評価できます。
ただし注意しなければならないのは、ここに収録されている曲はキングがバラ売りしているCDと音源が被っているということです。そのため、手持ちのCDと歌手などを参考にして音源を比較し、ダブりの数を見極めておく必要があります。
逆に、こういう方は少ないとは思いますが、この軍歌集さえ手元にあれば、キングの戦後モノ軍歌をバラで買う必要はほとんどなくなります。ダブっていても、手元のCDが少ないならば買っておいた方が後々得をすると思います。ご自身の蒐集と予算と相談して判断してください。
ダブりがない人には星5つか4つ。(ビクターの全集が優良なのでそれに比べると星4つ)ダブりがある人、特に優良な録音である男声合唱団吹き込みのものにダブリがある人は、そのダブりの数が増えるほど、この軍歌集の価値も下がってしまいます。