なぜ宝塚歌劇の男役はカッコイイのか 観客を魅了する「男役」はこうして創られる
宝塚歌劇を語らせて今ピカ一の著者によるヅカ本三作め。前の『宝塚読本』『なぜ宝塚歌劇に客は押し寄せるのか』は「宝塚の正しい鑑賞法?」、「宝塚のどこをどう見たら激しくおもしろいのか」といった分野を自身の体験を踏まえて展開して突き詰めていたが、今回はズバリ「歴史」からの分析だった。
考えてみれば宝塚歌劇が始まってからもうじき堂々の100年。歌舞伎や文楽といった先行芸能の100年目がこんなに深く広く享受されていたか愛されていたか、はなはだうといのだが、ひょっとしてヅカのこの長くて熱い盛り上がりぶりは、日本文化史上の快挙なのではないか。だからその時に居合わせたこと、それを知ることは大いに価値があると自分は考えて、かつて無理矢理宝塚にアプローチしたことがある。
だが男にとって宝塚というモンスターを理解するのは至難の業である。熱狂的な母娘代々のファン層、スミレコード、日比谷にたむろする不可解なおばちゃん軍団……知的興味だけでこんな無文字世界に飛び込めるものか。そんな私にとって、この著者は地獄で仏に出会ったようにありがたい存在なのだ。最初に読んだ『宝塚読本』は実際何の抵抗もなく読めたし、その直後に生まれて初めて観たステージは何ともなつかしくおかしくワクワクして、元気が充満する思いだった。そう、この著者のおかげでオヤジながら人十倍ヅカを楽しむことができたのだ。まったく男子の本懐とも言える。
宝塚歌劇の歴史に関する著作は関係者・ファン・OGなどからいくつも出ている。けれど、この著者の持ち味はそれらとは一線を画している。見巧者を気取るわけでも事情通をひけらかすわけでもない。ましてやラインダンスに並んだわけでもない(だろうと思う)。この本で引用されている歴史資料も、どれもかつて公開されたものばかりだ。
これは前2作とも共通しているところだけれど、ひとことで言うと、この著者の分析力が大きな魅力になっているのだ。とかく暑苦しいファン心理の発露や非論理的で乙女チックな観点は、第三者、特に男性読者がもっとも敬遠したがるもの。ところがこの著者の提示したテーマの元に見せる資料と、それへの分析力は、いわゆるヅカファンからはかけ離れた嗜好を持つ男性読者をも納得させ、うならせずにはおかない。
本書で今回著者から教えてもらって最もインパクトがあったのは、現在の宝塚のスタアシステムが古いものではなく(といっても宝塚の歴史の長さと比較してだが)、しかも形式化がやや硬直化へと進行しているのではないかという分析だ。ここまで確認するためには、確かに原初の少女歌劇発祥から時代を追って整理しなければならない。そして実際に、様々な時代に様々なシステムが存在したことがわかった。これはファンだけでなく、歌劇団にとっても非常に大きな収穫なのではないか。ぜひ関係者にも読んでほしい貴重な一冊だ。
CHRISTMAS PRESENT(初回生産限定盤)(DVD付)
クリスマスを代表する曲でどれも
知っているフレーズでとても楽しく聴けました♪
瀬奈じゅんさんのかりそめのスウィングは
とてもアンニュイな男臭い色気がとても
出ている低音に惚れ惚れしました。
娘役の方の歌は本当に可愛らしいです。
多少音程が気になるジェンヌさんも居ましたが15人の歌ともなると、個性があり楽しめます。
特に春野寿美礼さんの歌唱力には圧倒されます。
今のメンバーで出して正解だったと思います!満足しました。
シンデレラ The ミュージカル [DVD]
私は公演を5回ほど観に行きました。
まず宝塚スター達の演技、声量、歌唱力に圧倒されます。
アイドルでは到底太刀打ちできないレベル・・・の筈ですが、
シンデレラに扮する高橋愛が宝塚スター達に全く劣らない歌唱力とダンスで
コマ劇場数百人の視線を釘付けにします。
リボンの騎士を観た時の興奮がよみがえり、胸があつくなりました。
王子役の新垣理沙、大抜擢です。実際に観るまで実力的に少し不安がありましたが
男役が板に付いており全く違和感なく感情移入する事ができました。
周囲の心配の声を跳ね返すほどの努力をした事が容易に想像つきます。
亀井絵里、田中れいなは本来だと嫌な役回りの"意地悪な姉"を可愛らしく
コミカルに演じているため全く嫌な気分が残りません。
ガン克服直後の愛華みれさん(継母役)との駆け引きは爆笑必至です。
その一方で道重さゆみ、光井愛佳、ジュンジュンリンリンは殆ど台詞がありません。
道重光井ジュンリンが好きな方には物足りないかも知れません。
公演後、前に座っていた宝塚ファンの人たち数人が新垣さんと高橋さんを
絶賛していたのが印象的でモー娘。ファンとして嬉しくなってしまいました。
出来ればもっと多くの宝塚ファンの人たちに知ってもらいたいです。
前回"リボンの騎士"に比べて泣けるシーン、深く心に刺さるシーンこそ少ないものの
間違いなく「買い」の1枚です(2枚組ですけど)。