かたち あるもの
柴咲コウさんのシンガーとしての実力が伺える名曲です。車のCMで泣きべそかいて、べろを出してる女の子とは思えない、ここには大人の女性・柴咲コウさんがいます。声が奇麗な上に、歌が上手い。曲も、柴咲さんにもドラマにもマッチした名曲ですし、絶対”買い”でしょうね。
それにしてもこの深みのある表現力は凄い。柴咲さんが出すオーラが感じられます。
柴咲さんの才能と才気を感じることの出来る曲です。
TBS系ドラマ「白夜行」オリジナル・サウンドトラック
他のレビュアーが書いているように、ドラマ「白夜行」は河野伸の音楽がなければこれほど印象的なドラマにはならなかったでしょう。原作にはないこのドラマの世界観形成に決定的な役割を果たしていると思います。
特に「白夜を行く」「君を照らしていたい」とそれらの異なるアレンジの曲群には、14年に渡る亮司と雪穂の罪にまみれた、しかし純粋な「白夜行」に対する「赦し」のメロディーに溢れています。
この2曲のフルオーケストラ版を聴いてみたいですね。ちなみにこのアルバムのストリングスを担当している「弦一徹ストリングス」はよく目にする名前ですが、これを主催している落合徹也氏は、あの「G-クレフ」のメンバーだったんですね。昔「五右衛門」などを聴いてました。
世界の中心で、愛をさけぶ <完全版> DVD-BOX
とにかくよくできている。全11話ながら展開・構成に無理がなく、かつ1話ごとにしっかりとしたトピックスが存在する。「恋人が白血病をわずらった」というありがちなテーマの中で、映画版では取り上げられていなかった周囲の人々とその葛藤描写が素晴らしい。特に双方の両親の存在がこのドラマをいっそう輝かせている。その他、伊豆の海や写真(カメラ)、絵本、そしてカニクリームコロッケ(笑)などの「やさしい日常」の中にある「避けられない現実」のコントラスト、そしてどこか、終焉へ確実に歩み寄っているという緊張感が見事に描かれている。終盤、精神崩壊に陥りそうなくらいに思い悩む朔が、その胸の内を吐露していく語りの部分が個人的には好きである。最終話のエンディングは我々視聴者をみな幸せな気持ちにしてくれたはず。
世界の中心で、愛をさけぶ 小学館文庫
評判が大きかった割には,やや期待はずれでした.
ページも薄く,字も大きくて読みやすいのですが,
そのせいか,恋愛や死の場面の印象がどうも薄く,
どこか他人ごとで,哲学か思想を語っているよう.
その割に掘り下げが浅く,最後まで物足りません.
おなじみの名シーンも,前後もふくめてあっさり.
映像のほうは,ほとんど観たことがないのですが,
もっと,激情的なものだと思っていただけに残念.
全体的に見ても,感動というには疑問が残ります.
ただ,ふたりの会話や雰囲気などから感じられる,
はずかしいほどの『青さ』はよかったと思います.
世界の中心で愛を叫んだけもの (ハヤカワ文庫 SF エ 4-1)
エリスンという作家はどういった方向性の作品を書くのだろうとドキドキしながらページをめくると、最初にあたるのが表題作「世界の中心で愛を叫んだけもの」です。初対面の、ある程度は社会的地位のある目上の人に向かって「はじめまして」と緊張しながら手を差し出したら、いきなり唾を吐きかけられた、そんな気分になる作品でした。
まず、物語冒頭から躊躇いなく開始される暴力的表現に、怒りとか悲しみを通り越して呆然唖然としてしまいました。なぜそんなに殺すのか、いったい何が起こっているのか、頭を抱える読者を置いて、物語りは的確な説明もはさまずどんどん進んでいってしまうのです。また、時間軸と空間軸をいり混ぜたストーリーが展開されており、大変難解な構成になっています。そのため読者はさらに困惑・混乱せざるをえません。一度全部読み通した後に、あまりにも理不尽で一方通行な読書をさせられたような気がして、悔しさ半分、やけくそ半分で最初から読み直しをしました。 しかし、20ページ足らずの短い作品なので読み直しの作業自体はそれほど苦痛ではありませんし、むしろ自分はちょっと難しいパズルを解く時のような軽い興奮をおぼえました。
そしてストーリーが理解できてくると…。
そこには、暴力や恥ずべき悪習の中に救いを見出そうとする著者の姿勢を発見することができます。この場合の「救い」は闇の中の一条の光ではありません。救うに値しない物を救いたい、悪を全面的に肯定することはできないが全面的に否定することもできない、といったような矛盾とある種の葛藤を内包した「救い」なのです。このテーマを突きつけられたとき、独特の世界で展開されるストーリーと相まって、永遠に終わらないスパイラルに落ち込んでいくような遣る瀬ない気持ちになりました。そしてこの「救い」はあとに続くほぼ全ての作品に共通するテーマとして圧倒的な存在感と印象を放っているのです。
自分は、SFは「暇つぶし用の使い捨てエンターテイメント小説」だと思っていましたが、そんな考えはおこがましいものでした。SFというジャンルが持つ幅の広さと深さを見せ付けられた思いです。
ちなみに、表題作以外の作品はそれほど難しくありません。以下は自分が読んで素直に面白いと思えた作品です。表題作を読む前にこちらを読めば、唾を吐かれるのではなく皮肉を言われた程度の衝撃ですむと思います。「101号線の決闘」「殺戮すべき多くの世界」「少年と犬」