実はこの作者の本は日本語で読んだことがなかった。しかしイギリスで話題を読んでいたので思いきって英語で読んでみることにした。とてもスリリングでおもしろい。田舎の工場を設定にしていて現実感のある中での非現実的なできごと。人間後どこまでやれるかをさぐるサスペンス。英語も簡単なので英語を勉強したい人もおすすめ。
探偵・村野ミロ―桐野夏生氏デビュー作からの登場人物―は 出所を待っていた男が4年も前に獄中自殺をしていた事実を知り、 それを秘匿していた義父を殺し、逃避行に出る―。
キャラクター小説というものは、作家さんにとってどういう位置づけなのでしょうか。 東野圭吾氏にとっての加賀刑事や湯川助教授、篠田真由美氏の桜井京介とその仲間。 ライトノベルの世界に氾濫するあまたのキャラクター小説。 固定客がつく、キャラクターが物語を(ある程度勝手に)紡いでくれるといった有利な面が ある一方、それらに依拠したある種の「手抜き」ともとれなくはありません。
桐野氏はデビュー作以来のキャラクター達をこの作品で封印してしまいます。 その意識の現われなのか、この作品でのキャラクターたちの描かれ方は これまでのものとは大きく異なり、この種の小説を支持してきた人たちには 大きなショックと反感を生んだことでしょう。
でも、これは桐野氏の大きなステップアップなんだと思います。 この作品で使い慣れたキャラクターたちを捨てた彼女は、 実際、彼女独自の小説世界を見事に構築しています。
次も読まないと、と思わせる作品です。
暴力と笑いのアンバランスが絶妙で、『殺し屋1』『パルプフィクション』『BROTHER』などの映画が好きな人には、おすすめします。主人公は女性ですが、映画自体は男性向けだと思います。冒頭の主人公4人が振り返るシーンは必見です。原作小説は読んでいませんが、1本の映画として見ごたえがありました。
好きな俳優が一人も出ていなかったので、それほど期待せずに見たのですが、とても面白かった。特に”師匠”賠償美津子と”街金”香川照之が光っていました。そして間寛平は、登場シーンは少ないが非常に存在感がありました。
ちなみに特典で原作者の桐野夏生の姿を観ることができます。主人公の女優たちに混じっても、全く違和感がなくて驚きました。
数年前に実際に新潟で起きた少女監禁事件を下敷きにしているようです。 あれは本当に残酷な忘れることのできない事件でした。 あの事件を知ったときと同じ衝撃と痛みがあり、だからこそ「単なる本の中のお話」としては片付けられない作品です。 残酷で汚くて寒気のするような負の部分においてのリアルだけが非常に強いです。 少女の心が変な風に大人になっていくのも切なかったです。 そして犯人は本当に知能の少ない大人なのか、それともそういう部分にだけ頭のいいものすごく計画性のある犯行をしたのか、私には判断がつかなかったのがただ悔しいです。 それにしてもまだあの事件からたった数年。 こんなにはやくあの事件を彷彿とさせるような本が出版されたなんて、被害者や周囲の方のことを思うと複雑です。
西田尚美の夫がDV的暴力夫にそれほど見えず、間寛平が何故そこまで4人に憎悪を抱くのかが上手く表現されてなかったり(そもそもキャスティングが間違いだったのかも)、警察の動きを描いた方が盛り上がったのではないかと思うシーンが幾つかありました。 女同士のビジネスライクな関係を空撮やブルーのフィルターを使ったり映像で、テンポよくユーモラスに描いているのには好感がもてました。ラストはちょっといただけない。原作のイメージとはかなり違いますので注意してください。
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