魅力的なキャストと揺らぎのあるストーリーは上質な大人のドラマとして当時新鮮でした。
若い盛りを過ぎた中年男性と若い男。その間で揺れ動く一人の美しい女性…… 今思えば、クロード・ソーテ監督の南仏を舞台にした印象的なフィルム【夕なぎ】を下敷きに描かれていたように思います。演じるロミー・シュナイダーの円熟した魅力が画面いっぱいにあふれた仏映画の秀作。名花を挟みイヴ・モンタン、サミー・フレーといった新旧の美男が、エスプリを感じさせる名演を見せます。
紆余曲折を経て友情を結んだ男性二人との海辺の共同生活に耐え切れなくなった女が去り、再び舞い戻ったラストシーンの彼女の微笑が忘れられません。まるで夕なぎの様な穏やかさと切なさを内包した映画でした。
本作も主演の宮沢りえさん無くしては考えられない程、主演女優の存在が大きな意味を持つ素晴らしいドラマでしたね。こういった上質のドラマを待ち望んでいる人には必見です。
1994年真田広之、小泉今日子主演でTBSで放送されたドラマのシナリオ。本文は完全なシナリオ形式で書かれているが簡潔で無駄のない文は慣れていない方にも読みやすいと思う。
動作説明とかセリフにつけられるカッコ書きが、はじめ煩く感じられるかもしれないけれど、役者はこんな指示に従ってセリフを言ったり、表情を作ってるのかとか分かって面白い。
平凡なサラリーマンの身の上に起きる数々の不幸な出来事。大事件は起きないけれど、ひとつひとつの出来事が他人事で済まされない。
それ故、話はコミカルに、ときにペーソスを漂わせながら描かれていて笑わせられるのに、何かがもやっと心にひっかかる。先が知りたくてどんどん読み進めてしまう。
シナリオに特化してみると、池端さんの書かれるシナリオはセリフとト書きの分量バランスがとても優れていて、良質なシナリオの教科書のよう。シナリオを学んでる方にはとにかくおススメ。
本を読んでドラマに興味を持たれる方もいるかと思うけれど、自分が調べた限りでは、残念ながらDVD化などされていない。ただTBSのオンデマンドではみられるようなので、環境がおありなら視聴可能だと思う。
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