10代に半村良氏のSFにはまり、読み始めて完結までが長かった。
「意思を持った時間」の危険性を宇宙に知らしめるために命ひしめく妖星とされてしまった地球を舞台にし。
地球での生命誕生から人類の終焉までを描いた「時」と「命」をテーマとした壮大なスケールの大作。
私はこの作品で「時」と「命」に対する認識が改まりました。
「人道の巻」が特に大好き。
妖星伝の本筋から離れ、人間栗山定十朗を描いた外伝的な話。
その中でもやはり時間についての話はちゃんと挟まれている。
この巻を読むと毎回ラストで泣いてしまう。
カタルシスを得られる貴重な本。
これは半村良初期の中編であり、日常の積み重ねからやがてSFの世界に入る彼の特徴がよく現れた優れたSFミステリーであり、彼が初めて直木賞を意識した野心作である。 半村良に出会ったのは私が中学生の頃、地域の図書館でふと借りた伝説シリーズが最初であった。そこには大人の世界の匂いがあった。手塚治虫の漫画により少しはSFをかじってはいたが、それより遥かに複雑なSFの世界があった。少年が教科書的な読書からただ楽しむだけの読書に移行する道先案内をしてくれた幾人かの作家のなかの1人が彼だったのである。 彼の初期作品は全部踏破していると思っていたが、この作品はどうも逃していたようだ。珍しく物語の終わりに破綻がない。きれいに終わっている。少し計算し尽くしているところがあり、それが若干物語全体の勢いを無くしているかも知れない。しかしいずれにせよ彼のSFの代表作のひとつであることに間違いはない。彼のように庶民の眼線を大事にした伝奇SF作家は他には知らない。惜しい人を亡くしたと思う。
うまい俳優さんがたくさん出演されてるので短い時間でもきちんと
一人ひとりの個性が出ていて単なる没個性の「集団劇」じゃないところを
観てほしい映画です。内容もさることながら流れる音楽も
すばらしく特にジョー山中さんの歌声と男くさい面々の
映像がすばらしくマッチしてます。
女性を道具にしかみてないのか と思えるほどの
ハードボイルドさ漂う世界観。ぜひ味わっていただきたいですね。
「戦国時代に自衛隊がタイムスリップしたら・・」という設定を、思いつくまま角川春樹がズガーンと力ずくで映像化した映画。好きな人は心に響くものがあるだろうし、興味ない人はおそらく一生見なくても困らない。武田騎馬軍団と忍者部隊にフルオートで乱射する自衛隊、敵の首級を挙げたあと、ヘリで逃げ去る戦国武将、足軽部隊に容赦なく手榴弾を投げてドカーンと破壊するシーンの数々は(好きな人には)興味深く、見たい映像が現実化されているものと思う。お金も相当にかけている。武田騎馬軍団と自衛隊との戦いは大迫力。自衛隊員それぞれの人生とドラマがあり、個人個人のエピソードと性格設定が大変細かい。映像のひとつひとつが意味をもつよう、工夫して作られている。主演男優の迫力も見事。映画としての総合的な欠点は、ところどころスローモーションになって音楽が入るが、ミスマッチな音楽な上にやたら長くて疲れること、話が長すぎて最後の締めがうまくないこと。 着眼点と、映像化した力技には星5つつけたいが、欠点をふまえて星4つ。
半村良はSF作家のイメージが強いが、なかなか味わい深い時代小説を残している。 構成が凝っていて、それを味わうのも本作の楽しみのひとつなのであまりその部分については触れないでおく。それでも事前に知っておきたい人は下のレビューに詳しく書いてあるので、見ておくと良い。 本作の魅力はなんといっても市井の人々の生き様だろう。人それぞれに幸せを感じたり不幸を感じたりしている。つらいことのほうが多いが何とかがんばって生きている。そんな中で明かりを見つけ出すのだ。 これは本作に収録されているすべての編に共通して言える。結果のよしあしではなく、その過程で何を見出せたか…
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